唯一の勝点3は相手チームへの制裁措置として与えられたもの。

24節終了時点で1勝6分け17敗……。希望を持って臨んだシーズンで、ペスカーラはここまで悪夢のような日々を過ごしている。なお今週末は、日曜日にジェノアをホームに迎える。 (C) Getty Images
2月17日、セリエAのペスカーラは、3日前に解任したマッシモ・オッド前監督の後任として迎えたズデネク・ゼーマンの就任記者会見を行なった。
今年70歳となるゼーマンは、1990年代初頭に南イタリアの弱小クラブ・フォッジャを率いて頭角を現わし、その後、ラツィオ、ローマ、レッチェなどで実績を残してきたベテラン監督だ。
イタリアのなかでは異例とも言える超攻撃的なスタイルが身上で、得点も失点も多いスペクタクルなサッカーは、常に賛否両論を巻き起こしてきた。
そのゼーマンがイタリア中部、アドリア海に面した人口約12万人の中都市を本拠地とするペスカーラを率いるのは、これが5年ぶり2度目である。
前回(2011-12シーズン)は、マルコ・ヴェッラッティ(現パリ・サンジェルマン)、ロレンツォ・インシーニェ(現ナポリ)、チーロ・インモービレ(現ラツィオ)らを擁して圧倒的な攻撃サッカーでセリエBを席巻、20年ぶりのA昇格を勝ち取った。
クラブ首脳からサポーターまで、誰もが留任を望んだにもかかわらず、この昇格を置き土産にゼーマンがペスカーラを去ったのは、ローマというビッグクラブからオファーを受けたからだった。
しかしローマでは、スクデット争いを期待されながら中位に低迷し、シーズン半ばを過ぎた2月に途中解任の憂き目に遭う。その後は14-15シーズンにカリアリ、15-16シーズンにはスイス1部リーグのルガーノの指揮を執ったが、いずれもやはり途中解任に終わっていた。
ここで、オッド解任からゼーマン就任までの経緯を、時系列を追いながら振り返ることにしよう。
先週日曜日のセリエA第24節、試合開始から1時間で5-0という大差がついたトリノ対ペスカーラを伝えるテレビ画面には、顔面蒼白で奥歯を噛みしめ、目に涙を浮かべながらじっとピッチを凝視する敗軍の将、オッドの姿が大写しになっていた。
それまでの23試合で挙げた勝点はわずか9。しかも、記録上唯一の勝ち星となっている第2節サッスオーロ戦での勝点3は、相手の選手登録ミスに対する制裁処分によって3-0の勝利が与えられたもので、ピッチ上では1-2の敗戦だった。
つまりペスカーラは、開幕からまだ一度も勝利を挙げることができずにいるのだ。
順位はもちろん最下位。残留ゾーンの最後尾(17位)に位置するエンポリとの勝点差は13ポイントまで開いており、シーズン閉幕まで3か月以上を残した現時点で、すでにセリエB降格はほぼ確定と言って良い状況にある。
そしてこのトリノ戦でも、前半終了時点ですでに3失点を喫する目も当てられない戦いぶり……。
ペスカーラからトリノまで700キロもの道のりを遠征してきた100人ほどのサポーターは、ハーフタイムになると抗議のために横断幕を片付けてスタジアムから撤収し、後半が始まった時、アウェーセクションはほぼ、もぬけの殻になっていた。
そこからの15分で、さらに2失点を喫したペスカーラ。自チームの不甲斐ない戦いぶりを成す術なく見つめるオッドは、この試合限りで監督の座を去る決意を固めていたに違いなかった。実際にその翌日、彼はダニエレ・セバスティアーニ会長に辞任を申し出たのである。
今年70歳となるゼーマンは、1990年代初頭に南イタリアの弱小クラブ・フォッジャを率いて頭角を現わし、その後、ラツィオ、ローマ、レッチェなどで実績を残してきたベテラン監督だ。
イタリアのなかでは異例とも言える超攻撃的なスタイルが身上で、得点も失点も多いスペクタクルなサッカーは、常に賛否両論を巻き起こしてきた。
そのゼーマンがイタリア中部、アドリア海に面した人口約12万人の中都市を本拠地とするペスカーラを率いるのは、これが5年ぶり2度目である。
前回(2011-12シーズン)は、マルコ・ヴェッラッティ(現パリ・サンジェルマン)、ロレンツォ・インシーニェ(現ナポリ)、チーロ・インモービレ(現ラツィオ)らを擁して圧倒的な攻撃サッカーでセリエBを席巻、20年ぶりのA昇格を勝ち取った。
クラブ首脳からサポーターまで、誰もが留任を望んだにもかかわらず、この昇格を置き土産にゼーマンがペスカーラを去ったのは、ローマというビッグクラブからオファーを受けたからだった。
しかしローマでは、スクデット争いを期待されながら中位に低迷し、シーズン半ばを過ぎた2月に途中解任の憂き目に遭う。その後は14-15シーズンにカリアリ、15-16シーズンにはスイス1部リーグのルガーノの指揮を執ったが、いずれもやはり途中解任に終わっていた。
ここで、オッド解任からゼーマン就任までの経緯を、時系列を追いながら振り返ることにしよう。
先週日曜日のセリエA第24節、試合開始から1時間で5-0という大差がついたトリノ対ペスカーラを伝えるテレビ画面には、顔面蒼白で奥歯を噛みしめ、目に涙を浮かべながらじっとピッチを凝視する敗軍の将、オッドの姿が大写しになっていた。
それまでの23試合で挙げた勝点はわずか9。しかも、記録上唯一の勝ち星となっている第2節サッスオーロ戦での勝点3は、相手の選手登録ミスに対する制裁処分によって3-0の勝利が与えられたもので、ピッチ上では1-2の敗戦だった。
つまりペスカーラは、開幕からまだ一度も勝利を挙げることができずにいるのだ。
順位はもちろん最下位。残留ゾーンの最後尾(17位)に位置するエンポリとの勝点差は13ポイントまで開いており、シーズン閉幕まで3か月以上を残した現時点で、すでにセリエB降格はほぼ確定と言って良い状況にある。
そしてこのトリノ戦でも、前半終了時点ですでに3失点を喫する目も当てられない戦いぶり……。
ペスカーラからトリノまで700キロもの道のりを遠征してきた100人ほどのサポーターは、ハーフタイムになると抗議のために横断幕を片付けてスタジアムから撤収し、後半が始まった時、アウェーセクションはほぼ、もぬけの殻になっていた。
そこからの15分で、さらに2失点を喫したペスカーラ。自チームの不甲斐ない戦いぶりを成す術なく見つめるオッドは、この試合限りで監督の座を去る決意を固めていたに違いなかった。実際にその翌日、彼はダニエレ・セバスティアーニ会長に辞任を申し出たのである。