「靴下やベルトを売っていたくせに…」ローマを“炎上”させたラツィオMFの人種差別発言

カテゴリ:ワールド

片野道郎

2016年12月11日

地元の日刊紙がリュディガーの発言を煽り立てる。

ピッチ内外でラツィオを挑発したリュディガー。結局はそれが引き金となって大きな論争に。写真:Alberto LINGRIA

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 2-0でローマの勝利で終わった12月4日のローマ・ダービー。ピッチ上の決着はすんなりとついたが、ピッチ外ではその余波がまだ続き、ローマの街では人々が今もダービーの話題で熱い議論を戦わせている。
 
 ダービーの勝敗はそれから半年間の都市の空気を決定づける。ロマニスタとラツィアーレ(ローマ市民の大半がそのどちらかだ)の間では、ダービーの勝ち負けをネタにしたからかいや嘲りが日々の挨拶代わり。勝者は優越感に浸り、敗者は屈辱感に耐えながら日々を過ごさなければならない。
 
 しかし、今回話題の中心になっているのは、ピッチ上の結果ではない。ダービーをめぐってピッチ外で起こったいくつかの出来事が、マスコミとサポーターを巻き込んだ論争になっているからだ。
 
 事の発端は、ダービーの前日(12月3日)、地元の日刊紙『イル・テンポ』が掲載したローマのDFアントニオ・リュディガーの独占インタビュー。「ラツィオ、それ誰? 勝つのは俺たちだ。俺への“ブー”(モンキーチャント)はケイタにも向かう」という扇情的なタイトルが、ラツィアーレの神経を逆撫でしてダービーへの機運を盛り上げようとしてつけられたことは一目瞭然だった。
 
 インタビューの本文を読むと、リュディガーがコメントしている内容とその真意は、タイトルが煽り立てるほど挑発的なものではない。問題の箇所は以下だ。
 
「もう膝の故障は完治した。俺を止めるためには殺すしかない。止まるのは俺の性分じゃない。俺は常に勝ちたいんだ」
 
――ラツィオが君を止めるためにはどうすればいい?
「同じだ。殺すしかないね」
 
――今年のラツィオは怖い?
「クラブのことも、監督のことも知らない。高いモチベーションで臨んでくることは間違いない。どちらにとっても重要な試合、歴史あるダービーだからね。でも心配しても仕方がないし、ラツィオのことを考える暇があったら、自分の目標に集中したほうがいい。勝つこと、それだけだ」 
 
「相手の心配をするより自分のやるべきことに集中する」というのは、サッカー選手がインタビューに受け答えする時に多用されるクリシェ(決まり文句)のひとつだ。その意味で、リュディガーに特別な煽りの意図があったようには見えない。しかし、小さな言葉尻を捉えて膨らませ、読者を煽るのはマスコミの常套手段である。
 
 たしかに、スポーツの世界で戦う相手に対するリスペクトは最低限のマナー。「監督のことも知らない」というコメントは、それをあえて無視しているように見えても仕方がないことは事実だ。とはいえ、これを針小棒大に取り上げて騒ぎ立てるのは、やり過ぎだろう。
 
 それでも、試合前の段階ではこのインタビューがとくに槍玉に挙がるようなことはなかった。何となれば、ダービー前の地元マスコミはこの手の煽り報道に溢れているわけで、これもその“ワン・オブ・ゼム”に過ぎなかったからだ。
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