オシムにあって、ハリルにないもの――それこそが今の代表を覆う不信感の正体だ

カテゴリ:日本代表

飯尾篤史

2016年10月24日

オーストラリア戦をどう見るか。それによってハリルジャパンの評価は大きく異なる。

 11月のオマーンとの親善試合、サウジアラビアとの最終予選を迎える前に振り返っておきたいことがある。
 
 オーストラリア戦をどう見るか、についてだ。それによってハリルジャパンの評価は大きく異なってくる。
 
 ショートパスによる連動した攻撃は見られず、ストロングポイントが消え失せてしまったと失望するのか、相手のストロングポイントを消し、ウイークポイントを突く戦いができたと評価するのか。
 
 前者の立場に立てば、ストレスがたまり、見るべきものの少なさに嘆くしかなかっただろう。だが、後者の立場に立てば、緻密なスカウティングを含め、グループ最大のライバル相手に敵地でしたたかに戦ったことが見えてくる。

 この試合でオーストラリアは、従来の4−3−3から中盤をダイヤモンドにした4−4−2に変えてきた。読み違える地元メディアもあったが、日本はしっかりと読んでいた。

 4−2−3−1の布陣を4−3−3気味に変え、1トップの本田圭佑がアンカーのジェディナクの、右インサイドハーフの山口蛍がルオンゴの、左インサイドハーフの香川真司がムーイの、アンカーの長谷部誠がトップ下のロジッチのマークに付いた。「守備の時に俺が前に出て、そいつ(ルオンゴ)を見るのは、ミーティングでもやっていた」という山口の言葉からは、オーストラリアの出方が想定内だったことがうかがえる。
 
 最終ラインではセンターバックの槙野智章を左サイドバックに起用したうえで中央に絞らせ、左サイドハーフの原口元気を後方まで戻らせるなど、ときに5バックにして守りを徹底。空中戦に強い小林悠と本田を簡単にはベンチに下げず、最後は長身センターバックの丸山祐市まで投入してセットプレーを警戒した。74分に小林が、85分に浅野拓磨が迎えた決定機をモノにしていれば、ミッションは完遂されていたはずだ。
 
「相手に回させてからのカウンターっていうのをかなりはっきりやった。相手によって臨機応変に戦うなかでうまくハマった部分もあれば、まだまだの部分もある」
 
 試合後、長谷部はこう振り返った。相手のストロング=中盤の構成力を封じ、ウイーク=最終ラインのスピードのなさを突くことで日本は勝機をうかがったのだ。
 
 ハリルホジッチ監督はこれまでも、ホームとアウェーで戦い方やメンバーを変更していたが、今回ほど徹底して相手対策を施したことはない。その点で感じられるのは、チーム作りにおける「第2フェーズ」に本格的に入ったのではないか、ということだ。
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