【日本代表】ハリルの本質は"カメレオン"。豪州戦のドローは真骨頂だった

カテゴリ:日本代表

清水英斗

2016年10月17日

ハリルホジッチは、空中戦に対する脆弱性のリスクを受け入れなかった。

オーストラリア戦は守備的に戦い、勝点1を獲得したが……。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 1-1の引き分けで勝点を分け合ったアウェーのオーストラリア戦は、戦術というよりも、戦略について、議論を巻き起こしている。あまりに消極的である、と。

 ポゼッションを捨てた日本のカウンター戦術は、敵味方を問わず、驚きを与えた。勝つに越したことはないが、流れの中では引き分けOKとするゲーム戦略を、ハリルホジッチは選択した。

 是非は後に回すが、そのゲーム戦略を完遂するための戦術は、明確だった。

 システムは、4-4-2と4-3-3を併用。最初は4-4-2で入り、本田圭佑と香川真司のふたりがセンターサークルの先端辺りから、相手CBとアンカーに第1プレスをかける。カウンター戦術とはいえ、ある程度の高さから守備を始めるため、立ち上がり5分の原口元気のゴールに見られる“ショートカウンター”の発動に成功した。
 
 そして、オーストラリアが第1プレスを回避し、中盤に侵入する展開では、香川が1列下がり、4-3-3に移行する。こちらは日本の全員が自陣に引く形だ。そして後半の早い時間帯には、最初から4-3-3で引く形を作り、安定を重視。オーストラリアの攻撃を、自陣で受け止めた。
 
 必然、日本の攻撃はロングカウンターになるため、早期に本田圭佑を浅野拓磨に代えたり、あるいは齋藤学を投入したりすれば、カウンターの威力を補正できたはず。しかし、同時にセットプレーやクロスなど、空中戦に対する脆弱性が増す。ハリルホジッチは、そのリスクを受け入れなかった。本田や小林悠を長くピッチに残した。
 
“勝てる試合だったのに”と見えてしまうのは、日本のリアクション戦術がはまっていたからに他ならない。仮に勝ちに行けば、上記のリスク要因から新たなピンチを迎え、勝つ可能性とともに、負ける可能性も高まっていた。その結果どうなるかは、神のみぞ知る。
 
 そして、この引き分けをOKとするには、最終予選の折り返し地点となる次戦のホームのサウジアラビア戦に勝ち、1~2位と勝点で並ぶことが条件だ。オーストラリア戦で勝ちに行かなかったのは、次戦に勝負をかけたということ。試合単体ではなく、最終予選という線で考えれば、アウェーのオーストラリア戦で引き分けを望んだ戦略は、なんら不思議ではない。

 ホームとアウェー、対戦相手の特徴、コンディションを加味し、試合ごとにゲーム戦略を変える。カメレオン型のハリルホジッチの特徴を考えるなら、むしろオーストラリア戦は、真骨頂とも言うべき内容だった。
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