バイエルンはまだ危機を脱していない!? ペップ色からカルロ色への移行は難航中

カテゴリ:連載・コラム

中野吉之伴

2016年10月21日

「開放的なサッカー」どころか「全体的にぼやけた印象」の現在。

PSV戦で大勝を飾り、公式戦4試合ぶりの白星を手にしたバイエルンだが、昨シーズンまでと比べると、まだ内容的には不安定である。 (C) Getty Images

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 あまりの体たらくぶりに、代表取締役のカール=ハインツ・ルンメニゲも思わず激怒した。
 
「バイエルンに相応しくない」
 
 これは、ブンデスリーガ第7節でフランクフルトに2-2で引き分けた後の発言である。
 
 ルンメニゲは、「こんな展開は、そうそうあることではない。勝点1を獲れただけで満足しなければならない。ピッチ上では、全く別の心構えで臨まなければ」と、強い口調でコメントした。
 
 9月28日にチャンピオンズ・リーグ(CL)のグループステージ第2節でアトレティコ・マドリーに0-1で敗れて以来、リーグではケルン戦(1-1)、フランクフルト戦と連続で引き分けを喫している。
 
 うまくいかないイライラもあったのだろうか。フランクフルト戦では、ちょっとした小競り合いが大きくなり、カルロ・アンチェロッティ監督が仲裁に身体を張らなければならない場面もあった。
 
 このように公式戦3戦連続未勝利だっただけに、今週水曜日のCLでPSVに4-1で勝利した時は、選手、監督ともにほっとしたことだろう。
 
 先制点を挙げたトーマス・ミュラーは、「開始からギアを入れて、最初の30分はインテンシブに攻撃できた。楽しめた。ここ数試合よりも、良いプレーを見せられたことがポイントだった」と振り返る。
 
 翌日のドイツ・メディアには、「ちょっとした不調を吹き飛ばした」(『ビルト』紙)、「ロッベン、ミュラー、レバンドフスキが旋風」(『キッカー』誌)、「バイエルンが不振から脱出」(『TZ』紙)と、好意的な見出しが並んだ。
 
 だが、これで全てがまた、うまくいくのだろうか。本当にバイエルンは、調子を取り戻したのだろうか。
 
 プレーの細部の細部にまで拘りを持ち、プレービジョンに厳格で、エゴイストなプレーを許さなかった“ペップ”グアルディオラ前監督は、良くも悪くもアバンギャルドな存在だった。
 
 彼がもたらしたアイデアは、バイエルンのサッカーを根本から変え、飛躍的な質の向上に多大な貢献を果たした。だが一方で、その厳格さやエキセントリックなやり方を毛嫌いする人たちがいなかったわけではない。
 
 ペップが去り、人格者としても名高いアンチェロッティがミュンヘンにやって来ると、様々なドイツ・メディアや識者が、解き放たされた選手たちによる開放的なサッカーがチームを躍動させると、大歓迎ムードを作り出したりもした。
 
 だが、昨日の試合を見る限り、開放的なサッカーどころか、全体的にぼやけた印象になってしまっている印象を受ける。
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