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【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』 其の六十八「全てのプレーは“原則”に照らし合わせて厳格に評価すべき」

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2016年04月28日

誰の心も傷付かない魔法の言葉は、本質を隠し、敗北を招く。

吊るし上げるためでなく、プレーの進化、チームの勝利のためであれば、“犯人探し”は行なわれるべきである。 (C) Getty Images

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「ドンマイ!」
 
 日本スポーツ界には未だ、この考え方がはびこる。あるいは、このかけ声は魔法の力を持っていて、実際にこれが有効な運動競技があるのかもしれない。
 
 しかし、フットボールにおいて、この言葉はなんの効用も持たない。むしろ、チームを内部から腐らせてしまう元凶となり得る。
 
 フットボールには、いくつかの定理がある。とりわけ守備は、原則に則って行なわなければならない。
 
「最後尾にいる選手は、決して(攻めてくるアタッカーに)挑みかかってはならない」
「GKは飛び出したら、必ずボールに触らなければならない」
「SBが攻め上がる場合、ボランチ、もしくは他の選手がスペースをカバーしなければならない」
 
 これらに当てはめ、何が起こったかを検証するのだ。
 
一方、「ドンマイ」は魔法の言葉で、ミスを共有して心は傷つかない。しかし、これは物事の本質を隠し、問題が修正されることもない。言うまでもなく、そうした集団は敗北する。
 
 例えば、オフサイドラインを突破され、失点を喫するという状況がある。
 
 オフサイドトラップをかけようとラインを上げた選手と、マーキングを続けて食らいついて防ごうとした選手では、その判断が両極端になる(あるいはどちらもせず、何となくラインを合わせていた選手もいる)。両者のズレを突かれることで、守備側はアタッカーに独走を許すのである。
 
 では、ラインを破られる時、誰に責任があるのか?
 
 先日行なわれたJ1リーグ第7節、FC東京対川崎フロンターレ戦に、興味深い事例がある。前半、川崎は中村憲剛の最終ラインの裏を狙ったパスに、大久保嘉人が走り込み、独走から強烈なシュートを叩き込んだ。大久保は完全にラインを読んで破っていた。
 
「オフサイドではないか!?」
 
 FC東京の選手は、何人かが抗議していた。なぜなら、大久保は一番側にいた左SB小川諒也、その傍にいた左CB丸山祐市よりも前に出ていたからだ。
 
 しかし、明らかなオンサイドだった。右CBの森重真人も、右SBの徳永悠平も、大久保より前にいたのである。
 
 では、小川が最後まで責任を持ってマークすべきだったのか? 丸山、もしくは森重、徳永のミスか? あるいはGK秋本陽太が前に出て、シュートコースを狭めていれば良かったのか?
 
 そこで物を言うのが、原則である。
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