【韓国メディアの視点】対岸の火事ではない!? 市民クラブの多くが深刻な財政難に…

カテゴリ:連載・コラム

慎武宏

2016年04月28日

仁川ユナイテッドが給料未払い問題で訴訟騒ぎ。過去にN・バーンズにも訴えられ敗訴。

給料未払い問題が取り沙汰される仁川ユナイテッドを支援する仁川市も資金は潤沢ではない。2014年のアジア大会(写真)の負債が大きな足かせとなっているようだ。(C) Getty Images

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 日本では詳しく報じられていないが、4月17日に仁川(インチョン)ユナイテッド発で起きた訴訟騒ぎが、Kリーグに暗い影を落としている。
 
 仁川ユナイテッド(以下、仁川U)と言えばかつては前園真聖氏などもプレー。今はもう引退したがキム・ナミル(元神戸、元京都)、イ・チョンス(元大宮)らJリーグで活躍した選手たちも所属し、現在は1990年代後半に神戸でプレーしたキム・ドフンが監督を務め、昨季はFAカップ準優勝にも輝いた。
 
 そのクラブが、2014年から15年に所属した現役・元選手ら10名から出場給及び勝利給の未払いを理由に支払訴訟を起こされたのだ。その額、およそ2億ウォン(約2000万円)。プロクラブが選手から給料未払いで訴えられることは韓国でも前代未聞だが、それが“市民クラブの見本”とされてきた仁川Uで起きただけにショッキングだ。
 
 というのも、02年日韓ワールドカップ開催前後に韓国で起きた“市民クラブ誕生ブーム”に乗って03年に誕生した仁川Uは、06年から08年まで黒字経営であることを発表し、12年3月には仁川市の資金で作られた2万人規模のサッカー専用スタジアムも完成。韓国型市民クラブの成功例”として注目され、09年にはコスダック(店頭市場)上場も試みたこともあったほどだ。
 
 だが、近年は財政難のニュースが絶えない。2010年に54億ウォン、2011年に36億7000万ウォン、2012年に79億7000万ウォン、2013年に12億1000万ウォンの赤字を出し、13年には選手たちの給料を支払うために、地元の建設会社から5億ウォンを借り入れたことも発覚。その負債総額が135億ウォンになるとも報じられ、身売りも噂されたこともあった。
 
 しかも、最近は金銭トラブルも耐えなかった。12年~14年まで所属したネイサン・バーンズ(現FC東京)からは契約金及び給料未払いで提訴されて敗訴しているし、今年1月には中国・昆明でのキャンプ中に球団職員が選手たちの食費を水増し処理して不正に得たお金で監督やコーチ陣たちと歓楽街で酒を飲んでいたことが発覚。
 
 前出の出場給及び勝利給未払い問題とは別途に、現在所属する選手たちにも約7億ウォン相当の出場手当てを支払えていないという。基礎年俸の支払いも遅れ気味で、昨年は賃金未払いで韓国プロサッカー連盟から警告も受けた。まさにその台所事情は火の車なのだ。
 
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