実に半年ぶりの代表活動となる。誰よりも愛され、誰よりもチームを盛り上げる元気印が大岩ジャパンに帰ってきた。ポルトガルのベンフィカでプレーするGK小久保玲央ブライアンだ。

　2022年３月のチーム発足当初から継続して招集されてきた正守護神候補だが、最後に代表に呼ばれたのは、昨年９月のU-23アジアカップ予選。以降は状態が上がらず、10月のアメリカ遠征と11月の親善試合ではリストから漏れた。

　所属チームでは怪我やポジション争いの影響で、１月中旬以降はU-23チームで出場機会を得られていない。それでも、今回のマリ＆ウクライナとの２連戦が組まれた３月シリーズで代表復帰。４月に行なわれるパリ五輪・アジア最終予選を兼ねたU-23アジアカップ前に、再び日の丸を背負うことになった。

「基本的にはトップで練習しつつ、U-23で試合に臨むスタンス。ただ、怪我をしていた選手が戻ってきたりして、スタメン争いがかなりあって、今はなかなか試合に出られていない」と現状を振り返りつつ、巻き返しを誓っている。

「２回、代表から外れてしまったので、溜まってきた想いを今回出したい。ライバルになる（藤田和輝、野澤大志ブランドンの）２人もすごく良いゴールキーパー。試合に出る権利を勝ち取りたい」

　代表から遠ざかり、実戦からも離れている。不安はあるが、自分と向き合う時間が増えた。だからこそ、パワーアップを図れた自負がある。

「練習量は増えた。ベンフィカのゴールキーパーコーチとも話して、試合に出ないのであれば、試合前日の練習量を増やしたり、練習後に30分間は個別でメニューを組んでもらった」

　地道な積み重ねはまだ花開いていないが、今回の代表活動はアピールの大チャンス。目に留まるパフォーマンスを発揮できれば、U-23アジアカップでポジションを掴んでいたとしても不思議ではない。
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　また、ピッチ外の振る舞いでチームに貢献できる点も小久保の魅力だ。パリ五輪世代随一のムードメーカーであり、図抜けたコミュニケーションスキルで仲間を盛り立てられる点は心強い。今回もその役割を担うつもりでいる。

「バスの中でみんなが好きな音楽をかけて盛り上げたり、夜はみんなに呼びかけて人狼ゲームをしようと思っています」

　これまでも人狼ゲームはよくやっていたという。昨年６月の欧州遠征では、顔見知りの選手が少なかったDF関根大輝（柏レイソル）を誘い、スムーズに輪に入れるよう取り計らったという。

「性格面が出たりしますし、人狼チーム、市民チームで分かれたりするので、そこでコミュニケーションが生まれるんです」

　ピッチ内外でチームをひとつにする役割は、誰にでもできるわけではない。その意味では小久保の存在は貴重であり、活動が長期となるU-23アジア杯のような大会でも必要とされるだろう。

「アジアの戦いは本当に厳しくなってくる。発足して２年だけど、ここから一番厳しい試合になる。まずはこの２試合で自分たちのパフォーマンスをしっかり出す。今は26人で、最終予選は23人。限られた人数で戦っていくことになるので、少しでもチーム力を上げられるようにしたいし、全員で勝つことを忘れずに戦いたい」

　全身全霊を注いで、仲間のために、チームのために戦う覚悟だ。

取材・文●松尾祐希（サッカーライター）

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