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サイドハーフでも点取り屋の魂は消えない。熾烈なサバイバルに挑む小見洋太の覚悟【U-23代表】

カテゴリ:日本代表

松尾祐希

2024年03月18日

「全力でゴールに向かって、ゴールを奪う」

今季も新潟で主力として活躍する小見。大岩ジャパンでも爪痕を残せるか。写真:福冨倖希

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 与えられた背番号は24。そのナンバーが自分の立ち位置を表わしていることは、誰よりも理解している。

 掴んだチャンスをモノにしなければ、自分の未来は切り開けない。小見洋太、21歳。昌平から新潟に加わって4年目を迎えたアタッカーは並々ならぬ決意で、22日にマリ、25日にウクライナとの国際親善試合を戦うU-23日本代表の活動に参加している。

 昌平時代は生粋のストライカー。小学校時代からFWとしてプレーし、誰よりもこのポジションにこだわりを持っていた。しかし、ルーキーイヤーに転機が訪れる。点取り屋として期待されていたが、プロデビュー戦となった金沢との天皇杯2回戦、最前線で先発したが、思うようにいかず、わずか15分で左サイドハーフにポジションを変えた。この起用が吉と出る。

「フォワードで起用されたけど、あまり良くなくて左サイドの選手とポジションが入れ替わったんです。でも、そこで2アシストできて、そこからサイドで起用されるようになった」

 FWではなく、サイドハーフでプレーするようになると、プロ2年目の22年は23試合に出場してJ1昇格に貢献。もちろんストライカーとして勝負したい気持ちもあったが、「やっぱり試合に出たいという気持ちが一番。外のポジションは180度の視野を確保してプレーできる。真ん中だと360度になるので、フォワードで勝負したいなら、まずはウイングで結果をしっかり残さないといけない」という想いで、新たなポジションと向き合ってきた。
【PHOTO】マリ&ウクライナとの国際親善試合に挑むU-23日本代表招集メンバーを一挙紹介!
 昨季は自身初のJ1で戦ったなかで29試合に出場。主力として存在感を高めると、同年10月のアジア競技大会で大岩ジャパンに初招集される。海外組などはシーズン中のため、大学生中心のメンバー構成だったが、小見にとっては初の国際舞台。世代別代表の経験はあったとはいえ、大きな刺激を受ける場となった。

「個の力が足りていないと気付かされた。それが一番の収穫」

 自分の現在地を知った小見はさらなる努力を重ね、今季も新潟で左サイドハーフのレギュラーとして活躍中。そして、もう一度、日の丸を背負うチャンスを得た。しかも、今度はベストメンバーに近い編成で、4月16日に開幕するU-23アジアカップ(パリ五輪のアジア最終予選を兼ねる)を控えたなかで行なわれる最終選考の場だ。

 ここで負けるわけにはいかない――。ライバルと目される平河悠は個で局面を打開するドリブラーだが、小見の武器は狡猾な動きで相手の背後を突くプレーやゴール前のフィニッシュワーク。ストロングポイントを発揮できれば、生き残りの可能性はグッと高まる。

「全力でゴールに向かって、ゴールを奪う。アジア競技大会で感じた個の力の物足りなさを意識してやってきたので、そこの部分は必ず表現したい」

 今回の代表活動で小見はメンバーに入る予想をしていなかったという。この期間は温泉に行く予定を立てていたというが、もちろん予約をキャンセルして代表にやってきた。失うモノは何もない。巡ってきたチャンスを活かし、大舞台に挑む権利を勝ち取れるか。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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