「選手たちもプレッシャーなく戦える」
「3年計画でチームを強化したい」
就任当初から、そうした長期的ビジョンを吐く監督は、多くの場合、信頼に値しない。
なぜなら、指揮官とは1試合1試合を生き抜く立場である。3年後は、1試合1試合の集積でしかない。3年後にどうなっているのか、など思い通りに行くはずはない。
選手は腰が据わっていない監督と、運命共同体になるつもりはないのだ。
一方でプレーコンセプトを持っていない監督も、たいていは航海半ばで海に沈むことになる。
チームとして、どのように戦うのか。そのプレーモデルをトレーニングから選手に伝え、与えられなかったら、簡単に”難破する”運命にある。行き当たりばったりでは、たとえ連勝しても後が続かない。必ず、報いを受ける。
<選手をひとつに束ね、決断を下す>
それが仕事の監督で、極めて難しく、それだけデリケートな仕事と言える。
就任当初から、そうした長期的ビジョンを吐く監督は、多くの場合、信頼に値しない。
なぜなら、指揮官とは1試合1試合を生き抜く立場である。3年後は、1試合1試合の集積でしかない。3年後にどうなっているのか、など思い通りに行くはずはない。
選手は腰が据わっていない監督と、運命共同体になるつもりはないのだ。
一方でプレーコンセプトを持っていない監督も、たいていは航海半ばで海に沈むことになる。
チームとして、どのように戦うのか。そのプレーモデルをトレーニングから選手に伝え、与えられなかったら、簡単に”難破する”運命にある。行き当たりばったりでは、たとえ連勝しても後が続かない。必ず、報いを受ける。
<選手をひとつに束ね、決断を下す>
それが仕事の監督で、極めて難しく、それだけデリケートな仕事と言える。
FCバルセロナを率いるシャビ監督は、今年に入ってから深刻な低迷で追い込まれていた。攻守が全くかみ合わない。スペインスーパー杯決勝では宿敵レアル・マドリーに1-4と大差で敗れた。スペイン国王杯でもアスレティック・ビルバオとの撃ち合いで2-4と敗退。そしてラ・リーガもビジャレアルに3-5とホームで打ち負けるなど、連覇に向けては黄信号が灯った。
【動画】ヴィニシウスがクラシコで圧巻のハットトリック
シャビ・バルサが難局を乗り切るには、チャンピオンズリーグ(CL)、ラウンド16でイタリアの伏兵ナポリを打ち破るしかない状況になっていたわけだが…。
「今シーズン限りでバルサの監督を辞任する」
シャビは突然、試合後の会見で自ら発表したのである。
「監督辞任が全員にとって、最善の決断だと思っている。これによって、私は重圧から解放されるだろう。そして、選手たちもプレッシャーなく戦えることになるはずだ」
この発表は「自暴自棄」とも批判されていた。負けた勢いで語っているようにも映ったからである。試合後の記者会見、監督自らの辞任発表というのは異例だった。
ただ、その後の試合は一つも負けていない。
シャビが「今シーズン限りで辞める」と宣言し、監督期間を限定したことによって、選手たちの集中力を引き上げた。その後の監督続行を自ら捨てることで、一致団結を生み出したのである。リーダーが限定的な縛りを与えることには、一定の意味があるのだ。
監督の生き様は、それだけチームの戦いに投影される。指揮官が腹を括っているかどうか。それが統率力に大きな影響を与える。
これはあくまで苦肉の策で称賛するものではないし、ナポリとの戦いは五分五分と言えるが、それだけサッカーの勝負は紙一重なのだ。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
【記事】「次元が違った!クボとの日韓戦で完勝」パリSGイ・ガンインが絶妙アシスト!久保建英との“親友対決”勝利に韓国メディアは意気揚々!「ソシエダの息の根を止めた」
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「今シーズン限りでバルサの監督を辞任する」
シャビは突然、試合後の会見で自ら発表したのである。
「監督辞任が全員にとって、最善の決断だと思っている。これによって、私は重圧から解放されるだろう。そして、選手たちもプレッシャーなく戦えることになるはずだ」
この発表は「自暴自棄」とも批判されていた。負けた勢いで語っているようにも映ったからである。試合後の記者会見、監督自らの辞任発表というのは異例だった。
ただ、その後の試合は一つも負けていない。
シャビが「今シーズン限りで辞める」と宣言し、監督期間を限定したことによって、選手たちの集中力を引き上げた。その後の監督続行を自ら捨てることで、一致団結を生み出したのである。リーダーが限定的な縛りを与えることには、一定の意味があるのだ。
監督の生き様は、それだけチームの戦いに投影される。指揮官が腹を括っているかどうか。それが統率力に大きな影響を与える。
これはあくまで苦肉の策で称賛するものではないし、ナポリとの戦いは五分五分と言えるが、それだけサッカーの勝負は紙一重なのだ。
文●小宮良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。
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