神谷優太が青森山田高で学んだこと。「だから湘南で結果を出さなければいけない」

カテゴリ:高校・ユース・その他

安藤隆人

2016年03月14日

自分の努力、決断次第で、いくらでも状況は変えられる。

今冬の高校選手権では青森山田高をベスト4に導いた神谷。所属の湘南で試合に絡み、U-19日本代表に選ばれ続けることが重要と語る。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 久しぶりの代表だった。
 
 東京Vジュニアユース時代まではいわゆる『エリートコース』を歩んで来た神谷優太にとって、年代別代表に選ばれるのはごく当たり前のことだった。
 
 しかし、ユースに昇格し、周囲のレベルも上がり、それまでのようにイメージ通りのプレーできない状況になると、年代別代表は遠い存在になっていった。2012年8月にU-16日本代表の一員として豊田国際ユースサッカー大会でプレーしたのを最後に、代表に呼ばれることはなかった。
 
「やっぱり所属チームで結果を出し続けないと(代表とは)縁がないと感じました」
 
 東京Vユース時代は1年時から出番を得たものの、レギュラーを掴めなかったことで神谷はシビアな現実を目の当たりにした。そして、高3で一念発起し、高校サッカーの名門・青森山田高校に進学すると、かつて柴崎岳が背負った10番を託され、不動のエースとして1年間活躍。湘南入団内定を勝ち取るとともに、高校選手権ではチームをベスト4に導く原動力となって、結果の伴った1年を過ごした。
 
 こうした活躍が途切れていた縁を復活させた。3月6日から9日まで行なわれたU-19日本代表候補合宿に招集されると、最終日の全日本大学選抜戦ではボランチとしてプレーした。
 
「楽しかった。やっぱりあの代表のエンブレムを付けてサッカーをするのは、本当に幸せなことなんだと感じた」
 
 実に3年7か月ぶりに身につけた代表の『エンブレム』。その重みと待ちこがれた場所へ帰って来た喜びを感じながら、神谷は躍動感溢れるプレーを見せた。アジア1次予選にも出場したMF冨安健洋(福岡)とダブルボランチを組み、スタメン出場をすると、冷静なボールさばきとポジショニングを見せる。
 
 そして、ビルドアップだけでなく決定的な仕事もやってのけるのだ。中央でボールを受け、前線をルックアップすると、絶妙なタイミングで動き出しているFW小川航基の動きが目に入った。その瞬間、神谷は裏へのスペースではなく、足下に鋭い縦パスを送り込んだ。神谷のタイミングの良いパスを受けた小川は、鋭いターンからミドルシュートをゴール左隅に沈めた。
 
 U-19日本代表のエースストライカーの得点力を引き出したアシストは、彼にとって大きなアピールとなった。
 
「小川の特徴はなんとなく分かっていたし、立ち上がりから冷静にプレーできた」
 
 青森山田で積み上げた自信を裏付けに、代表でもやれることをプレーで証明してみせた神谷は、2本目途中で出番を終えた。
 
「やっぱりここに居続けるようにならないといけない。そのためには湘南でサッカーに打ち込んで、結果を出さないといけない」
 
 所属チームで結果を出せば、必ず帰ってこられる場所。それをこの1年間で学んだ男は、俄然モチベーションが上がっている。自分の努力、決断次第で、いくらでも状況は変えられる――。
 
 どん底から這い上がって来た男は、エース小川とのホットラインで、U-19日本代表に新たな風を吹き込もうとしている。
 
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)
 
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