興梠、武藤、阿部、関根、宇賀神、そして李へ――。ほとんどミスせず、正確にあらゆるポジションの味方へパスを預けた。さらに昨季までとは明らかに異なっていたのが、ゴールに向かうより積極的な姿勢――ペナルティエリアに侵入する回数が増えていたことだった。

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　４節の湘南戦ではそのスタンスを貫いて90分間フル出場し、２ゴールを演出してみせた。

　まず、41分の李の先制ゴール。それまでもインパクトのあるドリブル突破を再三仕掛けていた李が駆け上がってきたところへ横パス。そのパスによって李のギアは一段上がり、強烈なショットが（相手選手に当たる運も味方にして）湘南ゴールに突き刺さった。

　そして55分、チャンスを感じ取った背番号10が、再びペナルティエリア内に侵入。興梠からパスを受けた柏木は、背番号30がファーサイドに一旦抜けてフリーになったのを察知し、まさに針に糸をとおすような正確なスルーパスで２点目をアシストした。

　柏木は次のように振り返った。

「（２点目は）まず自分がシュートを打つのを前提にボールをトラップしたら、慎三が良い動き出しをしたので、パスに切り替えた。あれだけ良い動き出しをされたら、パスを出さないわけにはいかないぐらい質が高かった（笑）」

　試合前のロッカールーム、ACL出場組のG大阪とFC東京が、前日のＪリーグの試合で低調なパフォーマンスを見せていたことが話題になった。湘南戦は、アウェーとはいえチケットは完売。多くのサポーターが駆けつけていた。それだけに、「相手は運動量が武器の湘南。そんな明らかに疲れているような雰囲気を出すことだけは絶対にしたくない」と、全員で“闘う姿勢”を最後まで示すことを確認し合ったという。

　柏木のプレーは、なにより安定感があった。