「僕らの出来うんぬんではなく、相手の運動量が落ちていった」
湘南のサポーターに、遠藤航は温かく迎えられた。
試合前のメンバー発表でその名前がアナウンスされた際、それに試合後に本人が場内を一周してサポーターにあいさつをした際、いずれもたくさんの拍手がスタンドから起きた(もちろんとも言えるが、ブーイングをする人もいた)。
遠藤にとって、初めての古巣の湘南との対戦。しかも、湘南ユース時代に2種登録選手としてJ1デビューを飾った2010年から昨季までの6年間(10年は2種登録選手としてプレー)、“ホーム”として慣れ親しんだスタジアムに乗り込んで来たのだ。
これまでとは異なるアウェー側のロッカーに入り、昨季までとは反対のゴールがあるピッチでウォーミングアップをした。湘南サポーターの歓待も、それはそれでアウェーならでは――お客さん扱いだったと言えた。
遠藤は言う。
「違和感はあった。でも試合になれば、意識せずにできた」
赤いユニホームを着た遠藤は試合開始のホイッスルが鳴った瞬間、今度は “なんの違和感もなく”浦和の一員として、彼らしいクールに身体を張った守備でことごとくピンチの芽を摘んでいった。遠藤より身長が8㌢高いCFの藤田祥に空中戦で競り勝ち起点を作らせない。中央に飛び込んできた高山、下田のシャドーにも素早いチェックを見せた。
ボールを奪ったあとは、最終ラインからできるだけ高い位置までボールを持ち上がってパスをつなげた。コンパクトな陣形を保ってボールを奪う位置を絞り込むこと、よりゴールを意識したプレーを選択しやすくすることなど……、遠藤の少しでも前へ向かう姿勢は、浦和に様々な相乗効果をもたらしていた。
「切り替えの早さと球際の強さは出せたと思う。ラッキーな形で1点目を奪えたあと、少しずつ主導権を握ることができた」
そう語る遠藤が3バックの中央(リベロ)に固定されて、2失点を喫した広州恒大戦を挟んで、Jリーグでは2試合連続完封勝利を飾った。湘南戦のピンチと言えたのは試合終了間際に神谷にシュートを放たれたぐらいで、守備の組織が崩されることは一度もなかった。
その「決定機ゼロ」に抑えられた要因として、遠藤は「経験」というアドバンテージを挙げた。
「(湘南は)『前』に向かう意識を持っているので、そこで負けないこと、それにカウンターに持ち込まれないように心掛けた。『こういう時は、こう来るのかな』という予想は立てやすかった。自分ができることを、しっかり出せたと思う」
さらに、湘南のパフォーマンスに助けられた面もあったと明かす。
「最初は勢いがあったけれども、途中からスピードがなくなった。(後半一方的に浦和が主導権を握れたのは)僕らの出来うんぬんではなく、相手の運動量が落ちていったからだと言えた」
湘南が自滅したようだった――。
試合前のメンバー発表でその名前がアナウンスされた際、それに試合後に本人が場内を一周してサポーターにあいさつをした際、いずれもたくさんの拍手がスタンドから起きた(もちろんとも言えるが、ブーイングをする人もいた)。
遠藤にとって、初めての古巣の湘南との対戦。しかも、湘南ユース時代に2種登録選手としてJ1デビューを飾った2010年から昨季までの6年間(10年は2種登録選手としてプレー)、“ホーム”として慣れ親しんだスタジアムに乗り込んで来たのだ。
これまでとは異なるアウェー側のロッカーに入り、昨季までとは反対のゴールがあるピッチでウォーミングアップをした。湘南サポーターの歓待も、それはそれでアウェーならでは――お客さん扱いだったと言えた。
遠藤は言う。
「違和感はあった。でも試合になれば、意識せずにできた」
赤いユニホームを着た遠藤は試合開始のホイッスルが鳴った瞬間、今度は “なんの違和感もなく”浦和の一員として、彼らしいクールに身体を張った守備でことごとくピンチの芽を摘んでいった。遠藤より身長が8㌢高いCFの藤田祥に空中戦で競り勝ち起点を作らせない。中央に飛び込んできた高山、下田のシャドーにも素早いチェックを見せた。
ボールを奪ったあとは、最終ラインからできるだけ高い位置までボールを持ち上がってパスをつなげた。コンパクトな陣形を保ってボールを奪う位置を絞り込むこと、よりゴールを意識したプレーを選択しやすくすることなど……、遠藤の少しでも前へ向かう姿勢は、浦和に様々な相乗効果をもたらしていた。
「切り替えの早さと球際の強さは出せたと思う。ラッキーな形で1点目を奪えたあと、少しずつ主導権を握ることができた」
そう語る遠藤が3バックの中央(リベロ)に固定されて、2失点を喫した広州恒大戦を挟んで、Jリーグでは2試合連続完封勝利を飾った。湘南戦のピンチと言えたのは試合終了間際に神谷にシュートを放たれたぐらいで、守備の組織が崩されることは一度もなかった。
その「決定機ゼロ」に抑えられた要因として、遠藤は「経験」というアドバンテージを挙げた。
「(湘南は)『前』に向かう意識を持っているので、そこで負けないこと、それにカウンターに持ち込まれないように心掛けた。『こういう時は、こう来るのかな』という予想は立てやすかった。自分ができることを、しっかり出せたと思う」
さらに、湘南のパフォーマンスに助けられた面もあったと明かす。
「最初は勢いがあったけれども、途中からスピードがなくなった。(後半一方的に浦和が主導権を握れたのは)僕らの出来うんぬんではなく、相手の運動量が落ちていったからだと言えた」
湘南が自滅したようだった――。