第14節のブレントフォード戦は、ブライトンにとっては、久々に力で引き寄せた勝利だったのではないか。ホームのリーグ戦に限れば、９月24日のボーンマス戦以来２か月半ぶりの勝利を挙げたわけだが、その内容は充実しており、２－１のスコアライン以上の快勝だった。

　４試合ぶりにリーグ戦で先発出場を果たした三笘薫も、溌溂としたプレーで勝利に貢献。序盤から攻撃の中心として君臨し、ブレントフォードの守備陣を脅かした。

　軒並み動きの良かったシーガルズ（ブライトンの愛称）イレブンにおいても、トップレベルの選手の一人がこの日本代表ウインガーだった。

　定位置の左ハーフに入ると、立ち上がりから対峙したロエルスレフ・ラスムセンに立て続けに仕掛けていく。ラムスセンを振り切った場面は数回見られたものの、その都度、ブレントフォードの右インサイドハーフのフランク・オニェカ、右センターバックのイーサン・ピノックがカバーリングに回って、好機を作り出す前にプレーを潰された。

　しかし１点をリードされた31分。パスカル・グロスの同点ゴールをアシスト際には、このブレントフォードが三笘対策として講じた“ダブルアップ”の守備の裏をかいた形となった。

　ジョアン・ペドロのからボールを受けた三笘は、ディフェンダー２人を引きつけながらボックス内へ侵入する。そこに、後ろから上がってきてフリーのグロスにタイミングよくパスを出し、左足からの豪快なシュートでネットを揺らした先制点をアシストした。

　この場面について、三笘は「グロスのおかげですね」と謙遜しながらも、「でも、２人引きつけてたんでよかったです」と振り返った。咄嗟の判断についても、「まあ、そうですね。２人目が来てたんで、グロスがいい位置にいましたし、使っただけですね」と説明している。
【動画】２人を引き付けた三笘の裏をかいたアシスト→グロスが圧巻ゴラッソ
 

　その後も“らしさ”を見せつけた26歳がさらに秀逸だったのが、彼が起点となって生まれた52分の決勝弾だった。

　味方の細かいパスワークから左サイドでボールを受けた三笘が、後方から斜めにボックス内に走りこんだグロスへ絶妙なスルーパス。このボールから、ドイツ代表MFが丁寧で柔らかいクロスを逆サイドに送り、待ち構える18歳の有望株のジャック・ヒンシェルウッドが頭で合わせて逆転ゴールとなる。

　グロスとの素晴らしいコンビネーションから繰り出したゴールシーンについて、「カットインした時には、（グロスは）あの形をいつもやってくれるんで。（パスが）強すぎないことだけ意識しましたけど、素晴らしいクロスでしたね」と、ここでもグロスのプレー褒めた。
【動画】絶妙のスルーパスで三笘が決勝点をプレアシスト