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「フロンターレはJリーグで一番魅力のあるチーム」その証明へ脇坂泰斗が天皇杯決勝、そして伝統の14番で掴む初タイトルへ懸ける想い【インタビュー/後編】

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2023年12月07日

“ケンゴさん”に支えられながら

飾らない想いを語ってくれた脇坂。やはり川崎愛も強い。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 12月9日の柏との天皇杯決勝へ、川崎で今、見るべき選手と言えば、MF脇坂泰斗だろう。リーグ戦は苦しんだチームにおいて、脇坂自身も、もがき、悩み抜いてきたが、その先に見えた新たな領域があった。中盤で別格の存在感を放ち、3年連続でJリーグベストイレブンにも選ばれた男の今の想いに迫るインタビューの後編だ。

――◆――◆――

 川崎の14番。

 脇坂泰斗にとっては何より大切な番号である。

 クラブ一筋18年、憧れの中村憲剛が長年、背負ってきたナンバー。それを覚悟を持って昨年、継承した。前任者と比べられるのは承知のうえ。それでも、自分が継ぎたいとの想いがあった。

 川崎のアカデミー出身で、阪南大を経て、古巣でプロ入りを果たしたのが2018年。トップ下とボランチを担う選手として当初から、中村の後継者と見られる機会が多かった。

「メディアの皆さんには“ケンゴ2世”と呼んでいただいて。そうしたほうが記事になりますからね。自分としては恐れ多いことでしたが」

 もっとも周囲が勝手にハードルを上げるなか、中村はいつでも温かく見守ってくれていた。

「ケンゴさんは自分のことを“ヤスト1世”だって発信してくれたりして。『ヤストはヤストだ』と言ってくれていました」

 2021年の年末、伝統の番号を継承すると報告した際にも「ヤストはヤストらしく」と言葉をかけられたという。

 その言葉通り、14番を背負っての2年目の今季、脇坂は彼ならではのプレーで眩い輝きを放っているのだ。世代交代を押し進めるチームでシーズン序盤は自らも苦しみ、ベンチ外も経験した。それでも川崎はリーグ8位でフィニッシュしたものの、自らのプレーにフォーカスした脇坂は、パスを引き出し、チャンスを作り、決定的な仕事も果たす、ともにチームトップとなる9得点・6アシストの成績をマーク。3年連続でJリーグベストイレブンにも選ばれ、プレーヤーとしてのフェーズを一段上げた印象である。

【PHOTO】天皇杯優勝へ!ベストイレブンにも選出された川崎の脇坂泰斗インタビュー秘蔵カットを一挙公開!
 
 さらにピッチ外でも看板選手としての自覚が高まっているように感じられた。メディア対応にも誰よりも真摯でどんな質問にも丁寧に受け答えし、ファン・サポーターとのコミュニケーションも積極的に図る。まさに“川崎らしさ”を象徴する存在だった。

 もっともそれは背番号とは関係のない話のようだ。

「そこは元々、好きなだけなんですよ。だから特に意識を変えているわけでもなくて。

 こうやって取材をしてもらえるのは本当に嬉しいですし、そういう想いが今、面と向かっている本田さんや読んでくださる方に伝わってくれれば、なお良いですよね。

 ファンやサポーターの方と触れ合う時もやっぱり人と人の関係で、感謝の気持ちを常に抱えています。それは頭で考えてということではなく、自然にそうなっているのかなと。

 そこはやっぱりアカデミー時代の経験が大きいですよ。フロンターレのファン・サポーターの方々は、ユースにもすごく応援にきてくれますし、僕らの頃はプリンスリーグ(最上位のプレミアリーグに次ぐカテゴリー。現在の川崎U-18はプレミアリーグに所属)に所属していましたが、等々力で試合をやらせてもらえた時などは、すごく多くの方が応援にきてくれた。プロと同じようなチャントも歌ってもらえて感動しました。

 それに僕は関西(阪南大)に進学しましたが、気に掛けて、関東で試合をした時には応援に駆けつけてくれる方々もいました。だから、もう感謝しかないんですよ。そこはアカデミーで教わったと言いますか、自然に身に付いた感覚ですね

 取材に関しては自分が目立ちたいだけなのかもしれない(笑)。やっぱり自分の名前が出たら嬉しいじゃないですか。でも最近、考えているのが“脇坂泰斗”という選手を知ってもらいたいということ。

 自分を知ってもらい、フロンターレを知ってもらい、サッカーを知ってもらう。それで興味を持ってもらえる人が少しでも増えたら良いですよね。言い方が悪いかもしれないですが、自分の言葉を発信するために、メディアなどを活用させていただいていると言いますか、そこは最近より考えるようになりました。

 でもそれって選手それぞれで考え方や、やり方が違う。やっぱり僕らの本業はサッカー選手ですから。その意味で正解は分からないですけど、自分はそうやって多くの人と関わっていきたいなということなんです」

 脇坂はそう話す。もっともそれは賛辞を込めて中村憲剛と同様の“人たらし”の資質があるということなのだろう。川崎の14番にはそうであってほしいと、周囲が想像する姿であるのだ。

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