現地ベテラン記者が香川真司を密着レポート「今の状態が続けば、マンチェスター・U時代と同じように……」

カテゴリ:連載・コラム

マルクス・バーク

2016年03月04日

おそらくバイエルン戦はベンチスタートに。

ダルムシュタット戦で出番がなかった香川。今週末のバイエルンとの大一番では、はたして…。(C)Getty Images

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 3月2日に大きなサプライズが起きた。王者バイエルンがマインツに1-2で敗れたのである。その一方でドルトムントは、ダルムシュタットに2-0の快勝を飾った。
 
 両者が激突する5日の大一番を、ドイツのサッカーファンはとても楽しみにしている。2位ドルトムントが首位バイエルンに勝てば勝点差が2ポイントに縮まり、優勝争いがよりスリリングになる。
 
 24節のダルムシュタット戦はポジティブな要素が多かった。アドリアン・ラモスが2試合連続ゴールと調子を上げれば、17歳278日でトップデビューを果たしたドイツU-17代表の逸材MFフェリックス・パスラックは、溌剌としたプレーを披露。今シーズンのリーグ戦初出場を飾ったGKロマン・ヴァイデンフェラーは、無難に仕事を全うした。
 
 しかし、香川真司にとっては良くない結果となった。最後まで出場機会がなく、しかもポジションを争うライバルのゴンサロ・カストロが好パフォーマンスを見せたうえに1アシストを記録したからだ。
 
 2016年を迎えてから、香川は前半戦で見せた輝きを失っている。それは20節のヘルタ・ベルリン戦でメンバーから外されたことと無関係ではないと、私は思う。彼の繊細さを考えれば、トーマス・トゥヘル監督の判断は間違いだった。
 
 私が指揮官なら、土曜日のバイエルン戦は香川をベンチに置く。そしてトゥヘル監督もそうするだろう。試合の状況次第だが、王者バイエルンが相手となると、メンタル的なプレッシャーが少ない状態で送り出したほうが、先発させるよりもインパルスを与える可能性が高い。
 
 いずれにせよ、ピッチに立ったらまず、香川はシンプルにパスを繋ぐなど落ち着いてプレーしなければならない。今の不安定な心理状態が垣間見えた2月28日のホッフェンハイム戦では、ミスを連発した。ハーフタイムでのイルカイ・ギュンドアンとの交代が勝利の主因となったのは間違いなく、その事実を香川ももちろん理解しているだろうし、考えさせられたはずだ(試合レポートはこちら)。
 
 メンタル、フィジカルともに万全の時の香川は、手がつけられない。狭いスペースと短い時間でもボールを正確に素早く捌き、攻撃を加速させる。まさにチームに不可欠なピースだ。しかし、今の悪い状態が続けばマンチェスター・U時代と同じように自己懐疑の時間も長くなり、尻すぼみのままシーズンを終える可能性もある。
 
 香川にとってマイナスに働いているのは、マインツのユヌス・マッリを獲得するという絶えない噂だ。冬に獲り逃がしたこのゲームメーカーを、ドルトムントは夏の移籍市場でふたたび狙う構えを見せている。
 
 そうした周囲の喧騒に惑わされず、香川はベストコンディションを取り戻さなければならない。もちろん、それが難しいのは重々承知しているが、香川ならできるはずだ。これまでも苦境を乗り越えてきたのだから。
 
文:マルクス・バーク
翻訳:円賀貴子
 
【著者プロフィール】
Marcus BARK(マルクス・バーク)/地元のドルトムントに太いパイプを持つフリージャーナリストで、ドイツ第一公共放送・ウェブ版のドイツ代表番としても活躍中。国外のリーグも幅広くカバーし、複数のメジャー媒体に寄稿する。1962年7月8日生まれ。
 

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