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ただ上手くなりたいだけ。純粋な向上心でメキメキと成長。「試合に出られずに敗れた」U-17W杯も貴重な経験に【パリの灯は見えたか|vol.5 半田陸】

カテゴリ:連載・コラム

松尾祐希

2023年11月28日

幼稚園の頃からボールを蹴り始める

19年のU-17W杯で世界を体感。主将としてチームを引っ張った。(C)Getty Images

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 ブラジルの地で味わった悔しさは、今でも覚えている。

 2019年に同地で行なわれたU-17ワールドカップ。グループステージ初戦はCBで先発し、3-0の快勝に貢献した。キャプテンとしてチームを束ね、日本はノックアウトステージに進出。世界一に向けて、勢いはあった。

 しかし、現実は甘くなかった。ベスト8入りを懸けた一戦ではピッチに立てず、チームはメキシコに0-2で敗れた。

 あれから4年、主戦場は右SBに変わり、さらなるスケールアップを目ざしている。

 パリ五輪世代で期待のタレントをディープに掘り下げるインタビュー連載。第5回目は、ガンバ大阪の半田陸だ。五輪のアジア最終予選を兼ねたU-23アジアカップ開幕まで5か月に迫るなか、A代表歴もある21歳の想いに迫った。

――◆――◆――
 
 モンテディオ山形の育成組織で育ち、高校3年生ながらプロサッカー選手としてプレーしていた2019年の10月下旬。半田は日の丸を背負い、ブラジルの地でU-17ワールドカップを戦っていた。

 当時、本職としていたのはCB。陸上競技の短距離で活躍した両親譲りの身体能力を武器に、最終ラインの真ん中で屈強なアタッカーを封じる役目を担っていた。同時にチームリーダーとしての重責もあった。早生まれで最年長だったことや、真面目で実直な性格を買われてキャプテンを任されるなど、U-17日本代表の森山佳郎監督から絶大な信頼を得ていた。

 その一方で、当時はプロとして大成し、世界に飛び出していくような考えは持っていなかったという。

「自分よりレベルが高い人たちと練習して、単純に上手い人からボールを取りたいという想いしかなかった。この人たちより上に行きたい。ただ、それだけでした」

 純粋無垢なサッカー少年。それは昔から変わらなかった。

 2002年の1月1日。山形県上山市で生まれた半田は、幼稚園の頃からボールを蹴り始める。家の前で家族やいとことサッカーに興じ、一瞬で虜になった。

 小学校1年生の時に上山カメレオンFCで本格的にサッカーを始めると、恵まれた体格と足の速さで頭角を現した。同時に陸上の短距離でも好成績を収め、山形県教育委員会の小学校スポーツ優秀賞を受賞。その才能は多方面で発揮されていたが、半田はサッカーから離れる考えは微塵もなかったという。

「所属していたクラブで楽しくプレーしていたし、やっぱりサッカーをやりたい気持ちは強かった」

 両親から陸上競技への転向を勧められることもなく、上手くなりたい一心で毎日のようにボールを蹴っていた。ポジションなんて関係ない。前でも後ろでも求められた場所で戦った。

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