タケ・クボ(久保建英)がレアル・ソシエダに加入してから強調していることの一つが、自身がストリートで技術を磨き、這い上がってきた選手であることだ。
例えば、ノティシアス・デ・ギプスコアのインタビュ―ではこう語っている。
「子供の頃から、よく路上でボールを蹴っていた。今も自宅の近くにグラウンドがあれば、オフの日もボールを蹴っているだろう。同じくオフの日にスビエタ(練習場)を訪れたり、ピッチに立っているのも好きだよ。ジムで身体を動かすだけで、たとえボールを蹴らなくてもね。僕は天才と呼ばれるような選手ではない。努力を続けた結果、今がある。子供の頃から誰よりも練習に打ち込んできたことを誇りに思っている」
ルカ・モドリッチ、トニ・クロース、ヴィニシウス・ジュニオールらレアル・マドリーでプレーすることを夢見ていたタケの前に立ちはだかった選手たちの卓越した技術について触れられることが多いが、その一方であまり語られないのが、例外なく身体能力にも恵まれている点だ。
モドリッチとクロースは10年以上にわたって、3日に1度のペースで試合をする中、コンディション不良に悩まされたことはほとんどない。ヴィニシウスも、開幕直後に筋肉系のトラブルに見舞われたが、頑丈さには定評がある。
【動画】見事なダイレクトシュート!久保が開始2分に決めた電光石火の先制弾
あまり語られないのが身体能力にも恵まれている点
エスパニョールのカンテラのあるコーチは、ヴィニシウスについてラ・リーガから提供されているデータを基に、「スプリント回数、ドリブルを仕掛ける回数、トップスピードに達するまでの早さ、そしてドリブル成功数。まさに野獣だよ。匹敵する選手は誰もいない」と絶賛する。
しかし私は最近、その言葉に疑問を抱き始めている。シーズン序盤のこの時期に、昨シーズンのヴィニシウスと大差のない数字を残しているだろう選手がいるからだ。他でもないタケだ。
6試合で4得点2アシストという今シーズンここまでの結果はその代表例だが、だからこそ開幕以来、拮抗した展開の中、後半途中、タケをベンチに下げるイマノル・アルグアシル監督の采配が議論の対象となっていた。
しかしファンのその声が届いたのか、ヘタフェ戦でタケは90分間フル出場。しかも時計の針が進むにつれ、尻上がりにパフォーマンスを上げ、終盤、数週間前までチームメイトだったディエゴ・リコにとって悪夢のような存在となった。