夏の懸念は現実のものとなった…。補強すべきは左SBのみだ。
マドリーが、この冬の移籍市場でやるべきことは決まっている。左SBの補強だ。
このポジションについては、シーズン前にも補強が必要ではないかとクラブ内で議論されていた。ベニテスに新戦力の獲得を打診したこともあったが、指揮官はこれを受け入れず、他ポジションを優先した。
結果的には、夏のこの決断は間違っていたことになる。マルセロが負傷すれば、代替となる選手がいない……。それが現実になってしまったのだ。
現時点で左SBの最有力候補は、リバプールのモレーノである。彼自身はマドリー移籍に前向きだろうが、リバプールがOKを出す可能性は低い。
第2候補はパリSGのクルザワ。しかし、ブラン監督が彼をレギュラーと見なしていないにもかかわらず、クラブは放出に難色を示している。
いずれも移籍金額はそれほどでないとはいえ、所属クラブが出し渋っているため、成立するかどうかは微妙なところだ。
マドリーは、全選手がこれからコンディションをさらに上げていかなければならない。現在は、誰もトップコンディションにないからだ。それはリーガ16節のラージョ・バジェカーノ戦で10得点を奪って快勝した今も変わらない。
バルサはクラブワールドカップで優勝して勢いを増すばかりで、A・マドリーは着実に順位を上げ(2位)、現在はマドリー(3位)の上にいる。後半戦に向けて、何らかの刺激が必要であることは間違いない。
それでは、左SB以外に補強は必要なのだろうか?
「前線にビッグタレントを」という意見もあるが、個人的にはその必要はないと考えている。人員過多になってしまうからだ。
マドリーは現状でも、選手が余っている。イスコはそれを不満に思っており、彼はいずれこのクラブを出ていくことを選ぶかもしれない。
夏に獲得したコバチッチは、どれだけプレー機会を与えられただろう? ヘセは完全に消えてしまった……。
ベイル、ベンゼマ、ロナウドの「BBC」を前線の不動のレギュラーとするならば、中盤の枠は3人。これを、ハメス、イスコ、モドリッチ、クロース、カゼミーロ、コバチッチの6人で争っているのが現状だ。
彼らの実績、そして何よりもプライドを考えると、この状況はマドリーにとってマイナスでしかない。
健全なロッカールームの雰囲気を得るためにも、ひとりくらい放出したほうがチームはうまく回るのでは? とさえ私は考えている。
現在のマドリーの、すっきりしないチームの雰囲気は、選手個々のクオリティーに起因するのではなく、多すぎる選手、ベニテスと選手間の微妙な関係など、副次的要因がある。
1月、マルセロのバックアップは本当にやって来るのか。そして、あり余る攻撃選手の人員整理はなされるのか――。冬の移籍市場では、この2点がキーポイントとなる。
文:パブロ・ポロ(マルカ紙)
翻訳:豊福晋
【著者プロフィール】
Pablo POLO(パブロ・ポロ)/スペイン最大のスポーツ紙『マルカ』でレアル・マドリー番を務める敏腕記者。フランス語を操り、フランスやアフリカ系の選手とも親密な関係を築いている。アトレティコ番の経験もあり、首都の2大クラブに明るい。
このポジションについては、シーズン前にも補強が必要ではないかとクラブ内で議論されていた。ベニテスに新戦力の獲得を打診したこともあったが、指揮官はこれを受け入れず、他ポジションを優先した。
結果的には、夏のこの決断は間違っていたことになる。マルセロが負傷すれば、代替となる選手がいない……。それが現実になってしまったのだ。
現時点で左SBの最有力候補は、リバプールのモレーノである。彼自身はマドリー移籍に前向きだろうが、リバプールがOKを出す可能性は低い。
第2候補はパリSGのクルザワ。しかし、ブラン監督が彼をレギュラーと見なしていないにもかかわらず、クラブは放出に難色を示している。
いずれも移籍金額はそれほどでないとはいえ、所属クラブが出し渋っているため、成立するかどうかは微妙なところだ。
マドリーは、全選手がこれからコンディションをさらに上げていかなければならない。現在は、誰もトップコンディションにないからだ。それはリーガ16節のラージョ・バジェカーノ戦で10得点を奪って快勝した今も変わらない。
バルサはクラブワールドカップで優勝して勢いを増すばかりで、A・マドリーは着実に順位を上げ(2位)、現在はマドリー(3位)の上にいる。後半戦に向けて、何らかの刺激が必要であることは間違いない。
それでは、左SB以外に補強は必要なのだろうか?
「前線にビッグタレントを」という意見もあるが、個人的にはその必要はないと考えている。人員過多になってしまうからだ。
マドリーは現状でも、選手が余っている。イスコはそれを不満に思っており、彼はいずれこのクラブを出ていくことを選ぶかもしれない。
夏に獲得したコバチッチは、どれだけプレー機会を与えられただろう? ヘセは完全に消えてしまった……。
ベイル、ベンゼマ、ロナウドの「BBC」を前線の不動のレギュラーとするならば、中盤の枠は3人。これを、ハメス、イスコ、モドリッチ、クロース、カゼミーロ、コバチッチの6人で争っているのが現状だ。
彼らの実績、そして何よりもプライドを考えると、この状況はマドリーにとってマイナスでしかない。
健全なロッカールームの雰囲気を得るためにも、ひとりくらい放出したほうがチームはうまく回るのでは? とさえ私は考えている。
現在のマドリーの、すっきりしないチームの雰囲気は、選手個々のクオリティーに起因するのではなく、多すぎる選手、ベニテスと選手間の微妙な関係など、副次的要因がある。
1月、マルセロのバックアップは本当にやって来るのか。そして、あり余る攻撃選手の人員整理はなされるのか――。冬の移籍市場では、この2点がキーポイントとなる。
文:パブロ・ポロ(マルカ紙)
翻訳:豊福晋
【著者プロフィール】
Pablo POLO(パブロ・ポロ)/スペイン最大のスポーツ紙『マルカ』でレアル・マドリー番を務める敏腕記者。フランス語を操り、フランスやアフリカ系の選手とも親密な関係を築いている。アトレティコ番の経験もあり、首都の2大クラブに明るい。

他チームが羨むほどのタレントを中盤には多く擁するが、それが雰囲気を悪くし、チーム崩壊の危険をも孕んでいる。選手を獲得することだけが、チーム強化の術ではない。写真はイスコ。 (C) Rafa HUERTA