最強3トップを武器に、史上初となる2度目の三冠を達成!

細かいパスワークからだけでなく、速攻でもゴールを奪ったCL決勝。さらなる進化を遂げたバルサは、前人未到の大偉業を成し遂げた。 (C) Getty Images

加入当初はメッシやネイマールへのアシストを意識するあまり、プレーに精彩を欠いたスアレスだったが、ポジションチェンジと周囲のサポートにより復調。バルサで真のチームプレーヤーとなった。 (C) Getty Images
昨シーズンの無冠の戦犯とされたヘラルド・マルティーノ監督の後任として、バルサはOBのエルネスト・バルベルデを狙ったが、アスレティック・ビルバオの指揮を放棄することはできないと拒否されたため、同じくOBのルイス・エンリケに白羽の矢が立てられた。
新体制の下、近年になく多くの選手を入れ替えたバルサ。しかし、この年の4月にFIFAから、18歳未満の選手獲得に関する規定違反があったとして、2016年1月までの補強禁止というペナルティを受けていた。これに異議を申し立て、受け入れられたことで処分保留となり、この夏の新戦力獲得が可能になったのである。
新加入選手で一番注目を集めたのは、ウルグアイ代表FWのルイス・スアレス。実はこの夏にリオネル・メッシがバルサとの契約を延長するにあたり、ワールドクラスのFWの獲得を条件に入れており、これをクラブ側が受け入れての獲得だった。ちなみにメッシの第一希望は、セルヒオ・アグエロだったという。
もっとも、スアレスは夏のブラジル・ワールドカップで「噛みつき事件」を起こして長期出場停止のペナルティを受けており、ピッチに立てるのはリーガ開幕から約2か月後の10月末になってからだった。
バルサOBであり、このクラブの哲学を熟知しているL・エンリケは「相手の予測できないプレーをお見せする」と宣言していたが、序盤は自分の色を出し過ぎてチームに混乱をもたらしてしまう。9節のクラシコでは前半こそ白熱の攻防を見せるも、後半は押され続けて敗北を喫してしまい、この新監督への風当たりは強くなっていった。
しかもクリスマス休暇明けにはL・エンリケとエースのメッシの確執が発覚するなど、チーム状態は悪化すると思われたが、逆にこれがメッシのモチベーションを高めたのか、彼の調子は急上昇。ここからのリーガ21試合で28ゴールを挙げ、シーズン合計で43得点を記録したのだった。
また彼は、2年目でバルサのスタイルに完全に適応したネイマール、そして新加入のスアレスに多くのアシストを提供した。特に後者はバルサでのデビュー後、しばらくはチームのスタイルに馴染めず、10試合で2ゴールと精彩を欠いたことで非難も浴びたが、メッシは彼に手を差し伸べ続けた。
ポジションをメッシと入れ替えて前線の中央に入ったこともスアレスにとっては追い風となり、右からメッシ、スアレス、ネイマールと並ぶ3トップは、凄まじい破壊力を見せるようになる。これに合わせて中盤の支配力や守備力も向上してきたバルサは後半戦、連勝街道を突き進んだ。
リーガでは26節で首位に立ち、以降の試合で10勝2分けという文句なしの成績を残し、2シーズンぶり23回目の優勝を達成。国王杯もアスレティック・ビルバオをメッシ(2点)とネイマールのゴールで制した。
そしてチャンピオンズ・リーグ。ユベントスの決勝戦では、開始早々にイバン・ラキティッチが先制ゴールを決めてペースを握る。一時は相手に流れが傾き、同点にされたものの、メッシの技がスアレスの勝ち越し点を生み、さらに終了間際にはネイマールがダメを押した。
昨シーズンで引退したカルレス・プジョールの後を受け、キャプテンとして優勝トロフィーを受け取ったのは、このシーズン限りでのバルサ退団が決まっていたシャビ。黄金時代創成の功労者である彼が「ビッグイヤー」をベルリンの夜空に高々と掲げると、誰もが歓喜の雄叫びを上げた。
08-09シーズン以来となる2度目の三冠達成! それは、史上初となる大偉業だった。
そして今シーズン。現在、3度目の世界制覇を目指して日本で戦っているバルサは、再び全てのタイトルを勝ち取るべく、快調にその歩みを進めている。(了)
【PHOTOハイライト】バルセロナ 3-0 広州恒大
新体制の下、近年になく多くの選手を入れ替えたバルサ。しかし、この年の4月にFIFAから、18歳未満の選手獲得に関する規定違反があったとして、2016年1月までの補強禁止というペナルティを受けていた。これに異議を申し立て、受け入れられたことで処分保留となり、この夏の新戦力獲得が可能になったのである。
新加入選手で一番注目を集めたのは、ウルグアイ代表FWのルイス・スアレス。実はこの夏にリオネル・メッシがバルサとの契約を延長するにあたり、ワールドクラスのFWの獲得を条件に入れており、これをクラブ側が受け入れての獲得だった。ちなみにメッシの第一希望は、セルヒオ・アグエロだったという。
もっとも、スアレスは夏のブラジル・ワールドカップで「噛みつき事件」を起こして長期出場停止のペナルティを受けており、ピッチに立てるのはリーガ開幕から約2か月後の10月末になってからだった。
バルサOBであり、このクラブの哲学を熟知しているL・エンリケは「相手の予測できないプレーをお見せする」と宣言していたが、序盤は自分の色を出し過ぎてチームに混乱をもたらしてしまう。9節のクラシコでは前半こそ白熱の攻防を見せるも、後半は押され続けて敗北を喫してしまい、この新監督への風当たりは強くなっていった。
しかもクリスマス休暇明けにはL・エンリケとエースのメッシの確執が発覚するなど、チーム状態は悪化すると思われたが、逆にこれがメッシのモチベーションを高めたのか、彼の調子は急上昇。ここからのリーガ21試合で28ゴールを挙げ、シーズン合計で43得点を記録したのだった。
また彼は、2年目でバルサのスタイルに完全に適応したネイマール、そして新加入のスアレスに多くのアシストを提供した。特に後者はバルサでのデビュー後、しばらくはチームのスタイルに馴染めず、10試合で2ゴールと精彩を欠いたことで非難も浴びたが、メッシは彼に手を差し伸べ続けた。
ポジションをメッシと入れ替えて前線の中央に入ったこともスアレスにとっては追い風となり、右からメッシ、スアレス、ネイマールと並ぶ3トップは、凄まじい破壊力を見せるようになる。これに合わせて中盤の支配力や守備力も向上してきたバルサは後半戦、連勝街道を突き進んだ。
リーガでは26節で首位に立ち、以降の試合で10勝2分けという文句なしの成績を残し、2シーズンぶり23回目の優勝を達成。国王杯もアスレティック・ビルバオをメッシ(2点)とネイマールのゴールで制した。
そしてチャンピオンズ・リーグ。ユベントスの決勝戦では、開始早々にイバン・ラキティッチが先制ゴールを決めてペースを握る。一時は相手に流れが傾き、同点にされたものの、メッシの技がスアレスの勝ち越し点を生み、さらに終了間際にはネイマールがダメを押した。
昨シーズンで引退したカルレス・プジョールの後を受け、キャプテンとして優勝トロフィーを受け取ったのは、このシーズン限りでのバルサ退団が決まっていたシャビ。黄金時代創成の功労者である彼が「ビッグイヤー」をベルリンの夜空に高々と掲げると、誰もが歓喜の雄叫びを上げた。
08-09シーズン以来となる2度目の三冠達成! それは、史上初となる大偉業だった。
そして今シーズン。現在、3度目の世界制覇を目指して日本で戦っているバルサは、再び全てのタイトルを勝ち取るべく、快調にその歩みを進めている。(了)
【PHOTOハイライト】バルセロナ 3-0 広州恒大

監督:ルイス・エンリケ(スペイン)
その他の主なプレーヤー:GK テア・シュテーゲン、マシップ、DF マテュー、アドリアーノ、バルトラ、モントーヤ、ドグラス、ヴェルメーレン、MF シャビ、ラフィーニャ、S・ロベルト、FW ペドロ、ムニル、サンドロ

1998年のデビュー以来、バルサ一筋でキャリアを過ごし、ハイレベルな美技で全てのタイトルをチームにもたらしたシャビは、この後、カタールのアル・サッドに移籍した。前シーズンのプジョールに続く、クラブのシンボルともいうべき存在の退団には、寂しさとともに、時代の流れを感じさせられたものである。 (C) Getty Images
◎2014-15シーズン成績
リーガ:優勝(30勝4分け4敗・110得点21失点)
国王杯:優勝(対アスレティック・ビルバオ)
チャンピオンズ・リーグ:優勝(対ユベントス)
チーム内得点ランキング(リーガ):メッシ(43点)、ネイマール(22点)、スアレス(16点)、ペドロ(6点)、ラキティッチ(5点)、ピケ(5点)、サンドロ(2点)、シャビ(2点)、マテュー(2点)、ムニル(1点)、ラフィーニャ(1点)、バルトラ(1点)、ジョルディ(1点)
◎主なトランスファー
◇IN
夏
GK ブラーボ(←レアル・ソシエダ)
GK テア・シュテーゲン(←ボルシアMG)
DF マテュー(←バレンシア)
DF ヴェルメーレン(←アーセナル)
DF ドグラス(←サンパウロ)
MF ラキティッチ(←セビージャ)
MF ラフィーニャ(←セルタ)
FW スアレス(←リバプール)
FW ムニル(←ユースから昇格)
◇OUT
夏
GK V・バルデス(→マンチェスター・ユナイテッド)
GK ピント(→引退)
DF プジョール(→引退)
MF セスク(→チェルシー)
MF ソング(→ウェストハム)
MF ジョナタン(→ビジャレアル)
FW A・サンチェス(→アーセナル)
FW テージョ(→ポルト)
FW アフェライ(→オリンピアコス)
FW クエンカ(→デポルティボ)
リーガ:優勝(30勝4分け4敗・110得点21失点)
国王杯:優勝(対アスレティック・ビルバオ)
チャンピオンズ・リーグ:優勝(対ユベントス)
チーム内得点ランキング(リーガ):メッシ(43点)、ネイマール(22点)、スアレス(16点)、ペドロ(6点)、ラキティッチ(5点)、ピケ(5点)、サンドロ(2点)、シャビ(2点)、マテュー(2点)、ムニル(1点)、ラフィーニャ(1点)、バルトラ(1点)、ジョルディ(1点)
◎主なトランスファー
◇IN
夏
GK ブラーボ(←レアル・ソシエダ)
GK テア・シュテーゲン(←ボルシアMG)
DF マテュー(←バレンシア)
DF ヴェルメーレン(←アーセナル)
DF ドグラス(←サンパウロ)
MF ラキティッチ(←セビージャ)
MF ラフィーニャ(←セルタ)
FW スアレス(←リバプール)
FW ムニル(←ユースから昇格)
◇OUT
夏
GK V・バルデス(→マンチェスター・ユナイテッド)
GK ピント(→引退)
DF プジョール(→引退)
MF セスク(→チェルシー)
MF ソング(→ウェストハム)
MF ジョナタン(→ビジャレアル)
FW A・サンチェス(→アーセナル)
FW テージョ(→ポルト)
FW アフェライ(→オリンピアコス)
FW クエンカ(→デポルティボ)