モチベーションの低下で急降下…マドリード勢の席巻を許す。
ティト・ビラノバが前シーズンに続いて指揮を執るはずだった2013-14シーズン。しかし唾液腺にできた悪性腫瘍の治療が済んでもなお、彼の健康状態は優れず、リーガ開幕まで1か月を切ったところで、アルゼンチン人のヘラルド・マルティーニが新監督として招聘された。
母国のクラブ、パラグアイのクラブ&代表チームの監督を歴任し、実績も上げてきた彼への評価は欧州でも非常に高く、スペインではバルサ以外にも複数のクラブがオファーを出していた。
現役時代は地元ロサリオのクラブ、ニューウェルスのスターだったマルティーノだが、メッシもロサリオ出身であり、彼の父ホルヘにとってマルティーノはアイドル的存在だったという。
シーズン開幕前、クラブはCBの補強の必要性を感じていたが、これに対して新指揮官は現有戦力で十分に乗り切れると判断。しかし、後にこれがバルサを、そしてマルティーノ自身を苦しめることとなる。
一方、攻撃陣にはサントスからブラジルの至宝、ネイマールを獲得。移籍金、年俸等を合わせたら140億円という多額の投資によるビッグトレードだったが、後にこの移籍にまつわる不正疑惑が浮上し、2014年1月に会長のサンドロ・ロセイが辞任する事態にまで発展した。なお、後任にはジョゼップ・マリア・バルトメウが就いている。
少ない準備期間で、マルティーノがチームに植え付けようとしたのは、前線からの激しいプレスから始まる連動した守備だった。そして攻撃ではボールポゼッションを軸にしながらも、必要とあればロングパスやカウンターも用いるのが、“タタ”(マルティーノの愛称)のバルサだった。
リーガではひとつの引き分けを挟んで開幕戦から13連勝(クラシコも含む)を飾ったバルサ。前半を折り返した時点で勝点50を稼ぐなど、長く首位を走ったものの、パスワークでの崩しを省略したカウンター攻撃の増加は、バルセロニスタの間で大きな議論の的となった。
過去2シーズンで信じられないゴールショーを披露したメッシは、序盤は怪我がちでコンスタントにゴールを決められなかったが、代わりにネイマール、ペドロ・ロドリゲス、そして細かいパス回しよりロングボールによるスピーディーな攻撃の方が合っているアレクシス・サンチェスが、チームの得点数を増加させていった。
しかし、守備の問題は改善されておらず、徐々に前線と最終ラインの間延びによって守備はもちろん、ゲームの支配力も低下。マルティーノ監督はこれを修正することができず、また誤った選手起用と交代策でチームをさらに苦しめることとなってしまった。
背後からアトレティコ・マドリーが迫って来るさなか、25節に伏兵レアル・ソシエダに痛い敗戦。ここからチームはひたすら降下していく。そして最終節、勝った方が優勝という直接対決を1-1で逃げ切られ、カンプ・ノウでマドリードのチームの歓喜する姿を眺めるという、これ以上ない屈辱を味わった。
さらにカップ戦でも、チャンピオンズ・リーグ(CL)では準々決勝でやはりA・マドリーに敗れ(2試合合計1-2)、国王杯決勝でもレアル・マドリーの軍門に降る(1-2)など、マドリード勢(CLもマドリード・ダービーの決勝でレアルが優勝)に何度も精神的なダメージを与えられた。
選手のモチベーションも低く、頼みのメッシも過去2シーズンの半分近くまでゴール数が減少したこのシーズン。バルサは無冠に終わり、チームのマネジメントに失敗したマルティーノは、1年でバルサを去ることとなった。
ところで、シーズンも大詰めの14年4月、バルサはソシオ投票によって老朽化したカンプ・ノウの全面改装を決定。2021年完成予定ということで、バルセロニスタには将来に向けての大きな楽しみが提供された。
一方でこの月には、悲しいニュースがバルサに舞い込んだ。療養中だったビラノバの容態が悪化し、4月25日に息を引き取ったのである。享年45歳。バルサに関わる全ての人々が、伝統の若き継承者の早すぎる死を心から惜しみ、冥福を祈った。
母国のクラブ、パラグアイのクラブ&代表チームの監督を歴任し、実績も上げてきた彼への評価は欧州でも非常に高く、スペインではバルサ以外にも複数のクラブがオファーを出していた。
現役時代は地元ロサリオのクラブ、ニューウェルスのスターだったマルティーノだが、メッシもロサリオ出身であり、彼の父ホルヘにとってマルティーノはアイドル的存在だったという。
シーズン開幕前、クラブはCBの補強の必要性を感じていたが、これに対して新指揮官は現有戦力で十分に乗り切れると判断。しかし、後にこれがバルサを、そしてマルティーノ自身を苦しめることとなる。
一方、攻撃陣にはサントスからブラジルの至宝、ネイマールを獲得。移籍金、年俸等を合わせたら140億円という多額の投資によるビッグトレードだったが、後にこの移籍にまつわる不正疑惑が浮上し、2014年1月に会長のサンドロ・ロセイが辞任する事態にまで発展した。なお、後任にはジョゼップ・マリア・バルトメウが就いている。
少ない準備期間で、マルティーノがチームに植え付けようとしたのは、前線からの激しいプレスから始まる連動した守備だった。そして攻撃ではボールポゼッションを軸にしながらも、必要とあればロングパスやカウンターも用いるのが、“タタ”(マルティーノの愛称)のバルサだった。
リーガではひとつの引き分けを挟んで開幕戦から13連勝(クラシコも含む)を飾ったバルサ。前半を折り返した時点で勝点50を稼ぐなど、長く首位を走ったものの、パスワークでの崩しを省略したカウンター攻撃の増加は、バルセロニスタの間で大きな議論の的となった。
過去2シーズンで信じられないゴールショーを披露したメッシは、序盤は怪我がちでコンスタントにゴールを決められなかったが、代わりにネイマール、ペドロ・ロドリゲス、そして細かいパス回しよりロングボールによるスピーディーな攻撃の方が合っているアレクシス・サンチェスが、チームの得点数を増加させていった。
しかし、守備の問題は改善されておらず、徐々に前線と最終ラインの間延びによって守備はもちろん、ゲームの支配力も低下。マルティーノ監督はこれを修正することができず、また誤った選手起用と交代策でチームをさらに苦しめることとなってしまった。
背後からアトレティコ・マドリーが迫って来るさなか、25節に伏兵レアル・ソシエダに痛い敗戦。ここからチームはひたすら降下していく。そして最終節、勝った方が優勝という直接対決を1-1で逃げ切られ、カンプ・ノウでマドリードのチームの歓喜する姿を眺めるという、これ以上ない屈辱を味わった。
さらにカップ戦でも、チャンピオンズ・リーグ(CL)では準々決勝でやはりA・マドリーに敗れ(2試合合計1-2)、国王杯決勝でもレアル・マドリーの軍門に降る(1-2)など、マドリード勢(CLもマドリード・ダービーの決勝でレアルが優勝)に何度も精神的なダメージを与えられた。
選手のモチベーションも低く、頼みのメッシも過去2シーズンの半分近くまでゴール数が減少したこのシーズン。バルサは無冠に終わり、チームのマネジメントに失敗したマルティーノは、1年でバルサを去ることとなった。
ところで、シーズンも大詰めの14年4月、バルサはソシオ投票によって老朽化したカンプ・ノウの全面改装を決定。2021年完成予定ということで、バルセロニスタには将来に向けての大きな楽しみが提供された。
一方でこの月には、悲しいニュースがバルサに舞い込んだ。療養中だったビラノバの容態が悪化し、4月25日に息を引き取ったのである。享年45歳。バルサに関わる全ての人々が、伝統の若き継承者の早すぎる死を心から惜しみ、冥福を祈った。
◎2013-14シーズン成績
リーガ:2位(27勝6分け5敗・100得点33失点)
国王杯:決勝戦敗退(対レアル・マドリー)
チャンピオンズ・リーグ:準々決勝敗退(対アトレティコ・マドリー)
チーム内得点ランキング(リーガ):メッシ(28点)、A・サンチェス(19点)、ペドロ(15点)、ネイマール(9点)、セスク(8点)、イニエスタ(3点)、シャビ(3点)、アドリアーノ(3点)、ピケ(2点)、D・アウベス(2点)、テージョ(1点)、ブスケッツ(1点)、プジョール(1点)、バルトラ(1点)
◎主なトランスファー
◇IN
夏
FW ネイマール(←サントス)
FW アフェライ(←シャルケ)
FW クエンカ(←アヤックス)
◇OUT
夏
DF アビダル(→モナコ)
MF チアゴ(→バイエルン)
FW ビジャ(→アトレティコ・マドリー)
リーガ:2位(27勝6分け5敗・100得点33失点)
国王杯:決勝戦敗退(対レアル・マドリー)
チャンピオンズ・リーグ:準々決勝敗退(対アトレティコ・マドリー)
チーム内得点ランキング(リーガ):メッシ(28点)、A・サンチェス(19点)、ペドロ(15点)、ネイマール(9点)、セスク(8点)、イニエスタ(3点)、シャビ(3点)、アドリアーノ(3点)、ピケ(2点)、D・アウベス(2点)、テージョ(1点)、ブスケッツ(1点)、プジョール(1点)、バルトラ(1点)
◎主なトランスファー
◇IN
夏
FW ネイマール(←サントス)
FW アフェライ(←シャルケ)
FW クエンカ(←アヤックス)
◇OUT
夏
DF アビダル(→モナコ)
MF チアゴ(→バイエルン)
FW ビジャ(→アトレティコ・マドリー)