美しいサッカーで史上初の三冠達成! 衝撃のペップ・バルサ。

ただ勢いで勝ち抜くだけでなく、選手の粘り、指揮官の優れた戦術家ぶりなど、勝負に必要な全ての要素を発揮しての欧州制覇。改革1年目で、クラブの歴史に永遠に残る最強チームが生まれた。 (C) Getty Images

サッカーの歴史を変えたグアルディオラ。選手時代にバルサ・スタイルと、その対極にあるとも言えるイタリア・サッカーを経験したことが、38歳(当時)の青年監督に、サッカー界の命題でもあった「美しく勝つ」ための術を編み出させたようだ。 (C) Getty Images
豊富な戦力を有しながらも、自滅により屈辱的な2シーズン連続の無冠……。この状況を打破するためにバルサ首脳陣が監督に迎え入れたのが、若きジョゼップ・グアルディオラだった。
バルサ育ちのレジェンドであり、このクラブの哲学を十分に理解している存在ではあるが、指導歴はバルサBチームをわずか1年半率いただけとあって、この首脳陣の決定に驚きを隠せないファンも多かった。
しかし、“ペップ”は只者ではなかった。まずはチームに漂っていたダラけムードを一掃し、一丸となって大きな目標に向かう姿勢を選手たちに植え付けることを、短期間のうちに成し遂げる。
その際には、自分勝手な行動が目立っていたロナウジーニョやデコというかつての功労者を切り捨てることを厭わず、一方でたびたび舌禍事件を起こしていたエトーにやる気を取り戻させたりもした。
新生バルサは「ポゼッション」「サイドアタック」をキーワードにした攻撃サッカーを目指し、これに見合う戦力を補強。これまで不安が消えなかった最終ラインにはジェラール・ピケを加え、中盤に厚みを加えるためにケイドゥ・ケイタ、アレクサンドル・フレブを獲得した。
そして、左SBにはダニエウ・アウベス。高いテクニックと豊富な運動量を有する彼には、これまで孤立する場面も多かったリオネル・メッシのパートナーという重要な役割が与えられていた。
プレシーズンから好調だったバルサは、リーガでは黒星スタートとなるも、3節からはひとつの引き分けを挟んで19連勝を飾る。シーズン2敗目を喫するのが24節(エスパニョール戦)になってからというのは、驚異的なことだった。
シャビ、アンドレス・イニエスタら中盤のクラックらによる圧倒的なボールポゼッションから、改心したエトー、左サイドで新境地を切り拓いたティエリ・アンリ、そしてD・アウベスの到来でさらなる力を得たメッシによる最強トリデンテが、魅惑のゴールショーを披露し、チームの総得点は3ケタの大台に達した。
派手な攻撃に目を奪われがちだが、リーガ38試合で35失点と堅牢ぶりを誇った守備、また全選手が運動量を落とすことなく走り続けたことも忘れてはならない。
そして何より、選手のモチベーションを高め、献身性を引き出したグアルディオラの存在は大きかった。意識改革だけでなく、「美しく勝つ」というクラブの理想を就任1年目で実現し、また怪我人の続出というアクシデントにも冷静に対処し、的確な配置転換などでプレーの質を落とすことなく、苦境を乗り切った。
リーガを圧倒的な強さで勝ち抜いたペップ・バルサの猛威は国王杯でも吹き荒れ、そして欧州王者を決する舞台でも、並み居る敵を次々に倒していった。前シーズンに決勝戦進出を阻まれた相手であるマンチェスター・ユナイテッドをエトー、メッシのゴールで下したバルサは、3度目のチャンピオンズ・リーグ(CL)優勝まで果たした。
どんな敵をも寄せ付けずに成し遂げた三冠。それはスペイン・サッカー史上初となる大偉業だった。
あまりに衝撃的だったバルサの快進撃と、そのスタイル。監督1年生のグアルディオラはクラブを改革するだけでなく、サッカー界の歴史をも変えてしまった。
バルサ育ちのレジェンドであり、このクラブの哲学を十分に理解している存在ではあるが、指導歴はバルサBチームをわずか1年半率いただけとあって、この首脳陣の決定に驚きを隠せないファンも多かった。
しかし、“ペップ”は只者ではなかった。まずはチームに漂っていたダラけムードを一掃し、一丸となって大きな目標に向かう姿勢を選手たちに植え付けることを、短期間のうちに成し遂げる。
その際には、自分勝手な行動が目立っていたロナウジーニョやデコというかつての功労者を切り捨てることを厭わず、一方でたびたび舌禍事件を起こしていたエトーにやる気を取り戻させたりもした。
新生バルサは「ポゼッション」「サイドアタック」をキーワードにした攻撃サッカーを目指し、これに見合う戦力を補強。これまで不安が消えなかった最終ラインにはジェラール・ピケを加え、中盤に厚みを加えるためにケイドゥ・ケイタ、アレクサンドル・フレブを獲得した。
そして、左SBにはダニエウ・アウベス。高いテクニックと豊富な運動量を有する彼には、これまで孤立する場面も多かったリオネル・メッシのパートナーという重要な役割が与えられていた。
プレシーズンから好調だったバルサは、リーガでは黒星スタートとなるも、3節からはひとつの引き分けを挟んで19連勝を飾る。シーズン2敗目を喫するのが24節(エスパニョール戦)になってからというのは、驚異的なことだった。
シャビ、アンドレス・イニエスタら中盤のクラックらによる圧倒的なボールポゼッションから、改心したエトー、左サイドで新境地を切り拓いたティエリ・アンリ、そしてD・アウベスの到来でさらなる力を得たメッシによる最強トリデンテが、魅惑のゴールショーを披露し、チームの総得点は3ケタの大台に達した。
派手な攻撃に目を奪われがちだが、リーガ38試合で35失点と堅牢ぶりを誇った守備、また全選手が運動量を落とすことなく走り続けたことも忘れてはならない。
そして何より、選手のモチベーションを高め、献身性を引き出したグアルディオラの存在は大きかった。意識改革だけでなく、「美しく勝つ」というクラブの理想を就任1年目で実現し、また怪我人の続出というアクシデントにも冷静に対処し、的確な配置転換などでプレーの質を落とすことなく、苦境を乗り切った。
リーガを圧倒的な強さで勝ち抜いたペップ・バルサの猛威は国王杯でも吹き荒れ、そして欧州王者を決する舞台でも、並み居る敵を次々に倒していった。前シーズンに決勝戦進出を阻まれた相手であるマンチェスター・ユナイテッドをエトー、メッシのゴールで下したバルサは、3度目のチャンピオンズ・リーグ(CL)優勝まで果たした。
どんな敵をも寄せ付けずに成し遂げた三冠。それはスペイン・サッカー史上初となる大偉業だった。
あまりに衝撃的だったバルサの快進撃と、そのスタイル。監督1年生のグアルディオラはクラブを改革するだけでなく、サッカー界の歴史をも変えてしまった。

監督:ジョゼップ・グアルディオラ(スペイン)
その他の主なプレーヤー:GK ピント、オラサバル、DF マルケス、シルビーニョ、カセレス、MF ケイタ、ブスケッツ、フレブ、FW グジョンセン、ボージャン、ペドロ

D・アウベスの到来により前線の右サイドで躍動したメッシだが、中央での“偽9番”のプレーも敵チームを混乱に陥れた。怪我もなく通年で活躍した彼はゴールを量産し、CLでは得点王に。バルサにとって記念すべき年となったこの2009年、メッシは初のバロンドール受賞を果たすことになる。 (C) Getty Images
◎2008-09シーズン成績
リーガ:優勝(27勝6分け5敗・105得点35失点)
国王杯:優勝(対アスレティック・ビルバオ)
チャンピオンズ・リーグ:優勝(対マンチェスター・ユナイテッド)
チーム内得点ランキング(リーガ):エトー(30点)、メッシ(23点)、アンリ(19点)、シャビ(6点)、D・アウベス(5点)、イニエスタ(4点)、ケイタ(4点)、グジョンセン(3点)、ボージャン(2点)、トゥーレ・ヤヤ(2点)、ブスケッツ(1点)、マルケス(1点)、プジョール(1点)、ピケ(1点)
◎主なトランスファー
◇IN
夏
DF ピケ(←マンチェスター・ユナイテッド)
DF D・アウベス(←セビージャ)
DF カセレス(←ビジャレアル)
MF ケイタ(←セビージャ)
MF フレブ(←アーセナル)
MF ブスケッツ(←ユースから昇格)
冬
MF チアゴ(←ユースから昇格)
◇OUT
夏
DF テュラム(→引退)
DF ザンブロッタ(→ミラン)
DF オレゲール(→アヤックス)
MF デコ(→チェルシー)
MF エジミウソン(→ビジャレアル)
FW ロナウジーニョ(→ミラン)
FW エスケーロ(→オサスナ)
FW ドス・サントス(→トッテナム)
リーガ:優勝(27勝6分け5敗・105得点35失点)
国王杯:優勝(対アスレティック・ビルバオ)
チャンピオンズ・リーグ:優勝(対マンチェスター・ユナイテッド)
チーム内得点ランキング(リーガ):エトー(30点)、メッシ(23点)、アンリ(19点)、シャビ(6点)、D・アウベス(5点)、イニエスタ(4点)、ケイタ(4点)、グジョンセン(3点)、ボージャン(2点)、トゥーレ・ヤヤ(2点)、ブスケッツ(1点)、マルケス(1点)、プジョール(1点)、ピケ(1点)
◎主なトランスファー
◇IN
夏
DF ピケ(←マンチェスター・ユナイテッド)
DF D・アウベス(←セビージャ)
DF カセレス(←ビジャレアル)
MF ケイタ(←セビージャ)
MF フレブ(←アーセナル)
MF ブスケッツ(←ユースから昇格)
冬
MF チアゴ(←ユースから昇格)
◇OUT
夏
DF テュラム(→引退)
DF ザンブロッタ(→ミラン)
DF オレゲール(→アヤックス)
MF デコ(→チェルシー)
MF エジミウソン(→ビジャレアル)
FW ロナウジーニョ(→ミラン)
FW エスケーロ(→オサスナ)
FW ドス・サントス(→トッテナム)