敵地で先勝したハンガリーだが、第2戦での不安材料は多々…。

やってはいけないミスも何度か犯したハンガリーだが、それでも明らかにチーム力で上回る相手から1点を守りきってしまうところに、サッカーの不思議さ、面白さが感じられた。そして審判の微妙な判定も……これもサッカーの要素のひとつということか。写真は決勝点を挙げた新鋭クラインハイスラー。 (C) REUTER/AFLO
11月12日、EURO2016の予選プレーオフ第1戦が行なわれ、ハンガリーが敵地でノルウェーに1-0の勝利を挙げた。
1981年以降、ノルウェーはハンガリーに敗れておらず、選手の質やチーム力といった点でも、戦前はホームチームが有利と見られていた。
実際、開始3分でヘンリクセンの折り返しからシェルブレッドがフリーで強シュートを放って(ハンガリーの大ベテランGKキラリが辛うじてCKに逃れる)最初の決定機を得るなど、ノルウェーは試合を通して主導権を握り続けた。
テクニックとスピードで相手を翻弄するノルウェー。一方のハンガリーは、ピッチを広く使いながらボールをゆっくりと繋いで展開することが多かった。
前半の10分過ぎまではノルウェーが中盤でうまくボールを奪って再三速攻を仕掛け、ハンガリーDF陣を慌てさせていたが、徐々に試合は落ち着き、ハンガリーもノルウェーゴールに迫っていけるようになる。
ともに決定機がないまま迎えた26分、ハンガリーはペナルティエリア手前のパス回しから縦パスを入れると、これを受けたクラインハイスラーが左足で強シュート。GKナイランドは手に当てたものの、ボールはゴールネットを揺らした。
アウェーチームに先制点を与えたノルウェーは、さらに攻撃の手を強めたが、ゴールを狙うあまり、やや強引さが目立って、ハンガリーDF陣の危なっかしくも身体を張った懸命の守備、そして老獪な守護神キラリの好対応の前に、1点を奪うことができない。
この展開は後半も続いた。試合の大部分の時間帯はハンガリー陣内で行なわれ、ノルウェーは何度もサイドを突破し、フリーの状態でタイミング良くクロスを上げるも、フィニッシュに繋がることは滅多になく、せっかくのチャンスを次々にフイにしていった。
MFテッテイをはじめとして個々が高度なテクニックを持ち、好連係でハンガリーの選手を置き去りにし、簡単に相手ペナルティエリアまで迫れるにもかかわらず、ラストパスは創造性と精度に欠け、ハンガリーDF陣を助けてしまうのは不思議ですらあった。
ハンガリーはほとんどの選手が自陣に戻って守り、攻撃ではのらりくらりとボールをキープして時折フィニッシュまで持ち込みながら、時間を潰していくことに成功した。前半アディショナルタイム、エレクが完全フリーでのヘディングシュートを決めていれば、より楽に残り時間を過ごせただろうが……。
ノルウェーは87分、ヨハンセンの強シュートをキラリがセーブして浮いたボールを、フリーのへランドが頭で詰めるも、クロスバーにこれを阻まれて万事休す。有利とされながらも、ホームでの第1戦を落とすこととなった。
3日後の15日、今度はハンガリーのホームで第2戦が行なわれる。先勝したホームチームが有利と言えるかもしれないが、MFゲラを累積警告で欠くなど、ハンガリーには不安材料が幾つも存在する。
ノルウェーが主導権を握る展開は、第2戦でも変わらないだろう。後がない彼らが吹っ切れてゴールを量産するか、ハンガリーが粘り強くリードを守り続けるか……。サッカーの本質が見られた興味深いこのカードの結末は、全くもって予想がつかない。
【プレーオフのレギュレーション】
ホーム&アウェーで勝者が本大会に出場。2試合の合計得点が同じ場合はアウェーゴールの多いチームが勝利。アウェーゴールも並んだ場合は、第2戦終了後に15分ハーフの延長戦へ。ゴールを奪い合ってのドローの場合はアウェーチームの勝利。スコアレスドローの場合はPK戦を実施する。
1981年以降、ノルウェーはハンガリーに敗れておらず、選手の質やチーム力といった点でも、戦前はホームチームが有利と見られていた。
実際、開始3分でヘンリクセンの折り返しからシェルブレッドがフリーで強シュートを放って(ハンガリーの大ベテランGKキラリが辛うじてCKに逃れる)最初の決定機を得るなど、ノルウェーは試合を通して主導権を握り続けた。
テクニックとスピードで相手を翻弄するノルウェー。一方のハンガリーは、ピッチを広く使いながらボールをゆっくりと繋いで展開することが多かった。
前半の10分過ぎまではノルウェーが中盤でうまくボールを奪って再三速攻を仕掛け、ハンガリーDF陣を慌てさせていたが、徐々に試合は落ち着き、ハンガリーもノルウェーゴールに迫っていけるようになる。
ともに決定機がないまま迎えた26分、ハンガリーはペナルティエリア手前のパス回しから縦パスを入れると、これを受けたクラインハイスラーが左足で強シュート。GKナイランドは手に当てたものの、ボールはゴールネットを揺らした。
アウェーチームに先制点を与えたノルウェーは、さらに攻撃の手を強めたが、ゴールを狙うあまり、やや強引さが目立って、ハンガリーDF陣の危なっかしくも身体を張った懸命の守備、そして老獪な守護神キラリの好対応の前に、1点を奪うことができない。
この展開は後半も続いた。試合の大部分の時間帯はハンガリー陣内で行なわれ、ノルウェーは何度もサイドを突破し、フリーの状態でタイミング良くクロスを上げるも、フィニッシュに繋がることは滅多になく、せっかくのチャンスを次々にフイにしていった。
MFテッテイをはじめとして個々が高度なテクニックを持ち、好連係でハンガリーの選手を置き去りにし、簡単に相手ペナルティエリアまで迫れるにもかかわらず、ラストパスは創造性と精度に欠け、ハンガリーDF陣を助けてしまうのは不思議ですらあった。
ハンガリーはほとんどの選手が自陣に戻って守り、攻撃ではのらりくらりとボールをキープして時折フィニッシュまで持ち込みながら、時間を潰していくことに成功した。前半アディショナルタイム、エレクが完全フリーでのヘディングシュートを決めていれば、より楽に残り時間を過ごせただろうが……。
ノルウェーは87分、ヨハンセンの強シュートをキラリがセーブして浮いたボールを、フリーのへランドが頭で詰めるも、クロスバーにこれを阻まれて万事休す。有利とされながらも、ホームでの第1戦を落とすこととなった。
3日後の15日、今度はハンガリーのホームで第2戦が行なわれる。先勝したホームチームが有利と言えるかもしれないが、MFゲラを累積警告で欠くなど、ハンガリーには不安材料が幾つも存在する。
ノルウェーが主導権を握る展開は、第2戦でも変わらないだろう。後がない彼らが吹っ切れてゴールを量産するか、ハンガリーが粘り強くリードを守り続けるか……。サッカーの本質が見られた興味深いこのカードの結末は、全くもって予想がつかない。
【プレーオフのレギュレーション】
ホーム&アウェーで勝者が本大会に出場。2試合の合計得点が同じ場合はアウェーゴールの多いチームが勝利。アウェーゴールも並んだ場合は、第2戦終了後に15分ハーフの延長戦へ。ゴールを奪い合ってのドローの場合はアウェーチームの勝利。スコアレスドローの場合はPK戦を実施する。