現地ベテラン記者が香川真司を密着レポート「香川も心得ていたルール・ダービーの“重み”」

カテゴリ:連載・コラム

マルクス・バーク

2015年11月12日

宿敵から挙げる勝利は、それほど特別な意味を持つ。

シャルケ戦で先制ゴールを叩き込んだ香川。いつも以上に歓喜したのは、ダービーが持つ意味をしかと理解しているからに他ならない。 (C)Getty Images

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 11月8日、ドルトムント対シャルケの試合会場に向かう道中で、私はふと思った。このルール・ダービーでなにか問題が起きるのではないか、と。

【写真】シンガポール&カンボジア戦に臨む日本代表メンバー23人
 
 ドルトムント中央駅の上空には警察のヘリコプターが旋回し、ファンの衝突を避けるために地下鉄の入り口が封鎖されるなど、厳戒態勢が敷かれていたからだ。しかし、ひとたび試合がはじまると、私の疑念はすっかり消し飛んでいた。
 
 ドルトムントがシャルケを3-2で下した試合の後、私が乗っていた電車に日本人の女性4人が乗り込んできた。すると、彼女たちを見つけたドルトムントのサポーターが、すぐさま「カーガーワー・シンジー」と歌い出した。しかもかなり大きい声で、いつもより母音を伸ばして「カーガーワー」と。
 
 両チームの選手とファンにとって、ルール・ダービーは「普通の試合」ではない。「特別な一戦」である。ドルトムントで生まれた私は、それを子供の頃から知っている。
 
 ヘッドで先制点を決めていつも以上に歓喜した香川もまた、シャルケ戦が持つ意味をしかと心得ていたのである。
 
 初めて出場した10-11シーズンのシャルケ戦(ブンデスリーガ4節)でいきなり2ゴールを挙げて勝利の立役者となった香川は、開催地ゲルゼンキルヒェンから戻ってきた際に、ファンに担がれて祝福された。これが仮にボルシアMGやバイエルンが相手だったら、誰もそんなことはしなかっただろう。宿敵から挙げる勝利は、それほど特別な意味を持つのだ。
 
 ルール・ダービーの前後1週間は、試合の話題で持ち切りになるのが常だ。シャルケのファンはドルトムントの街にも、私が所属しているアマチュアのサッカーチームにもいるが、彼らはしばらくの間、肩身の狭い思いをしなければならない。
 
 試合の話に戻そう。私は『シュポルトシャウ』というTV番組のウェブサイトで、今回のドルトムント対シャルケ戦をこう分析した。「サッカーも、時には平等である」と。
 
 3-2という結果は、まさに正当だったと思う。ドルトムントのほうがパフォーマンスに優れていたとはいえ、シャルケを終始圧倒したわけではないからだ。大差がついていたら、正当な結果ではなかった。
 
 来年4月に予定されている二度目のルール・ダービーでは、現在故障離脱中の内田篤人も出場することを願っている。香川と内田の日本人対決は副次的なものでしかないが、「特別な一戦」を彩るエピソードのひとつになるのだから。
 
文:マルクス・バーク
翻訳:円賀貴子
 
【著者プロフィール】
Marcus BARK(マルクス・バーク)/地元のドルトムントに太いパイプを持つフリージャーナリストで、ドイツ第一公共放送・ウェブ版のドイツ代表番としても活躍中。国外のリーグも幅広くカバーし、複数のメジャー媒体に寄稿する。1962年7月8日生まれ。

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