【アナリスト戦術記】イングランド対フランスを徹底展望、中盤“3対3”の攻防に注目! 4つの局面で生まれるズレをいかに突くかが勝負の鍵に【W杯】
カテゴリ:連載・コラム
2022年12月10日
両チームメンバーにコンディションの不安はなさそう
サッカーの奥深き世界を堪能するうえで、「戦術」は重要なカギとなりえる。確かな分析眼を持つプロアナリスト・杉崎健氏の戦術記。今回は優勝候補同士の一戦、イングランド対フランスを深く掘り下げる。
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日本代表のグループステージでの激闘とクロアチアとの死闘で盛り上がりを見せたW杯も、いよいよ準々決勝を迎える。今回はその中から、優勝候補同士の対決となったイングランド対フランスのプレビューを、戦術面をメインにお届けする。
まずメンバーは、両チームともに決勝トーナメント初戦のままとしている。イングランドのストーンズは少し怪我の具合が不透明だが、それ以外は、日程的にも空いたため、コンディションに不安を持つ選手はいないだろうとの予測だ。
また、スターリングが家庭の事情でチームを離れていたが、前日に合流予定とのこと。スタートからの起用はないかもしれないが、代わりに先発で出ているフォデンで問題ないのはセネガル戦でも証明して見せた。相手のサイドバックがクンデであるとの予想なら、縦に仕掛けられる選手が良いかもしれない。グリーリッシュよりフォデンの方が合っているか。
また、中盤の形は3センターを再び採用するかどうか。グループステージのウェールズ戦から先発起用したヘンダーソンが機能しており、相手とのかみ合わせを考慮しても、おそらく同様の形をとるだろう。
一方のフランスは、もともと怪我人が多く、メンバーを組むのに苦労してきたが、テオ・エルナンデスやチュアメニなど、代役の選手たちもヨーロッパのトップクラブで活躍しており、見劣りしていない。大幅なメンバー変更はないだろう。
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日本代表のグループステージでの激闘とクロアチアとの死闘で盛り上がりを見せたW杯も、いよいよ準々決勝を迎える。今回はその中から、優勝候補同士の対決となったイングランド対フランスのプレビューを、戦術面をメインにお届けする。
まずメンバーは、両チームともに決勝トーナメント初戦のままとしている。イングランドのストーンズは少し怪我の具合が不透明だが、それ以外は、日程的にも空いたため、コンディションに不安を持つ選手はいないだろうとの予測だ。
また、スターリングが家庭の事情でチームを離れていたが、前日に合流予定とのこと。スタートからの起用はないかもしれないが、代わりに先発で出ているフォデンで問題ないのはセネガル戦でも証明して見せた。相手のサイドバックがクンデであるとの予想なら、縦に仕掛けられる選手が良いかもしれない。グリーリッシュよりフォデンの方が合っているか。
また、中盤の形は3センターを再び採用するかどうか。グループステージのウェールズ戦から先発起用したヘンダーソンが機能しており、相手とのかみ合わせを考慮しても、おそらく同様の形をとるだろう。
一方のフランスは、もともと怪我人が多く、メンバーを組むのに苦労してきたが、テオ・エルナンデスやチュアメニなど、代役の選手たちもヨーロッパのトップクラブで活躍しており、見劣りしていない。大幅なメンバー変更はないだろう。
注目は、中盤の攻防か。システム的に言えば3対3の構図になり、攻守にわたってマッチアップしやすい。ただ、各局面を見ていくと、それがズレてくるシーンが起こり得る。まずはイングランドの自陣攻撃とフランスの敵陣守備から紐解いていく。
イングランドのビルドアップの特徴として、右サイドバックにウォーカーを起用すると、少し下がり気味に構えて左サイドバックのショーを高い位置に上げようとする。
セネガル戦の18分のシーンは典型だが、ウォーカーは斜めのロングボールで左サイドの奥を狙った。この時、インサイドハーフのヘンダーソンも下がってくるケースが多い。あえて下がって、FWのケインにも下りてもらうための選択だろう。相手のインサイドハーフをヘンダーソンが引き連れ、空けたスペースでケインがポスト役になるシーンが再び見られそうだ。
ボールが左から回る場合は、ショーの位置によってインサイドハーフのベリンガムが工夫する。ショーが高いポジションを取れるなら下がってサポートし、ショーが低く構えるなら前に出て相手のボランチの横で受けようとする場合が多い。
対してフランスは、かみ合わせ的に相手の3センターハーフを見れる状態にある。だからこそ、ついていくのか、ゾーンで守るのかを明確にする必要がある。
グリーズマンはポーランド戦でも、途中から相手のアンカーのクリホビアクを見るようにしたように、この試合でもライスを見続けるだろう。となれば、チュアメニとラビオの振る舞いにも注目だ。上下動を繰り返すベリンガムとヘンダーソンに対してどこまでついていくのか。自分のエリアを空けてでもマークするのか。この駆け引きによって、ボールを持つイングランドが自陣から前進できるかどうか変わってきそうである。
イングランドのビルドアップの特徴として、右サイドバックにウォーカーを起用すると、少し下がり気味に構えて左サイドバックのショーを高い位置に上げようとする。
セネガル戦の18分のシーンは典型だが、ウォーカーは斜めのロングボールで左サイドの奥を狙った。この時、インサイドハーフのヘンダーソンも下がってくるケースが多い。あえて下がって、FWのケインにも下りてもらうための選択だろう。相手のインサイドハーフをヘンダーソンが引き連れ、空けたスペースでケインがポスト役になるシーンが再び見られそうだ。
ボールが左から回る場合は、ショーの位置によってインサイドハーフのベリンガムが工夫する。ショーが高いポジションを取れるなら下がってサポートし、ショーが低く構えるなら前に出て相手のボランチの横で受けようとする場合が多い。
対してフランスは、かみ合わせ的に相手の3センターハーフを見れる状態にある。だからこそ、ついていくのか、ゾーンで守るのかを明確にする必要がある。
グリーズマンはポーランド戦でも、途中から相手のアンカーのクリホビアクを見るようにしたように、この試合でもライスを見続けるだろう。となれば、チュアメニとラビオの振る舞いにも注目だ。上下動を繰り返すベリンガムとヘンダーソンに対してどこまでついていくのか。自分のエリアを空けてでもマークするのか。この駆け引きによって、ボールを持つイングランドが自陣から前進できるかどうか変わってきそうである。