試合終了のホイッスルが鳴ると、ブライトンのMF三笘薫は静かに天を仰いだ。

　10月８日に行なわれたトッテナムとの一戦で、三笘は67分から途中出場。相手に１点リードされた状況で「切り札」としてピッチに入ったが、ゴールやアシストの結果に結びつけることができなかった。０－１の敗戦に悔しそうな様子でピッチに残っていると、アルゼンチン代表MFアレクシス・マク・アリステルに頭をポンと叩かれ慰められていた。

　それでも25歳のアタッカーは、チャンスを作り出してブライトンサポーターを沸かせた。投入から２分後には相手の守備ブロック手前でパスを受け、敵の陣形を確認してからドリブルを開始。止めに入ったデンマーク代表MFピエール＝エミル・ホイビェア、 アルゼンチン代表DFクリスティアン・ロメロをかわしてPA内に侵入した。イングランド代表DFエリック・ダイアーを抜きかけたところでタッチが大きくなり、最後はフランス代表GKユーゴ・ロリスにブロックされた。

　しかし、それまでの膠着状態にフラストレーションを溜めていたブライトンサポーターは三笘のプレーに大きな声援を送り、「Mitoma！」のチャントで積極果敢なトライにエールを送った。

　その他でも元イングランド代表MFアダム・ララーナとのコンビプレーで崩そうとしたり、もう一度ドリブル突破を図ったりと積極的に仕掛けたが、最後までトッテナムゴールを破ることはできなかった。
 

　試合後の取材エリアで、三笘がまず口にしたのは反省の言葉だった。

「出場時間を30分もらえたので、もうちょっと何かできたかなというのが正直なところです。相手の強度が落ちたところで入ったので、これくらいはできないといけない。最後のこういうところで決めきるというのが自分の役割なので。物足りないかなと思っています」

　これまで三笘はタッチライン際から縦方向へのドリブルで敵を抜き、さらにサイドをえぐってクロスボールを上げるプレーを多用してきた。ところがトッテナム戦では、中央へ切れ込んでいくドリブルを何度か見せた。

「監督からの指示だったのか？」と尋ねると、三笘は「いや、自分の感覚でやりました」と返答。「縦は相手がけっこう警戒してくると思っていたので、最初に中（へのドリブル）を見せるのも一ついいかなと。状況によって身体の向きを考えて、とっさにやっている」と続け、状況から判断してドリブルのパターンを変えたと説明した。

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