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ACLの「秋春制」導入でJリーグの移行も本格化するのか? “障壁だらけ”なのは日本と他国で大きく異なるスポーツの捉え方にある

カテゴリ:Jリーグ

加部 究

2022年08月06日

春秋制への異議が再燃する可能性もあるが…

ACLは2023年より完全な「秋春制」へ移行することが決定。この変更はJリーグにどんな影響をもたらすのか。(C)Getty Images

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 アジアサッカー連盟(AFC)は8月1日、2023年よりアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)が完全な「秋春制」へ移行することを発表した。この変更は「春秋制」採用のJリーグにとってどんな影響があるのか、またJの秋春制移行は本格化するのか。スポーツライター加部究氏の見解は?

――◆――◆――
 
 2023年からACLが秋春制に移行することになった。
 
 当然Jクラブへの影響は小さくない。9月に始まるグループリーグ(GL)が12月まで行なわれ、ラウンド16が2月中旬から下旬、準々決勝が3月の開催になる。ワールドカップが冬に開催される今年は、11月の第1週にJ1が終わるが、例年通りならJクラブは12月と2月にACLの重要な試合を迎えることになり、オフの確保もコンディション調整も難しい。
 
 ベスト8を懸けた一戦は、W杯の日本代表と同様に成否の分水嶺と見ることもできるが、この大切な試合には新体制で臨まなければならない。もし準備不足が露呈して劣勢が顕著になれば、春秋制への異議が再燃する可能性もある。
 
 ただし、これまで何度も議論が繰り返されながら実現に至っていないように「秋春制」への移行は障壁だらけだ。何より英国で生まれたサッカーは、暑い時期を避けて行なう競技として世界に広まった。ところが学校単位の部活が軸を成す日本では、競技の特性を問わず夏休みに最も集中的に活動する習慣が根づいている。欧米の夏休みは文字通りバケーションに充てられるが、日本では勉強だけが休みになり、逆にスポーツは書き入れ時になってしまったわけだ。

 そもそもスポーツの捉え方からして、日本と他国では大きく乖離している。欧州を初め、世界では「楽しむ」ことを原点として浸透したスポーツを、日本では教育のツールとして活用してきた。欧州ではスポーツをわざわざ苦行に変える必要はないから、夏は心身の休養に充てる。

 ふたたび涼しくなってプレーに適した時期になり、やる気が満ちてきた頃に選手たちはピッチへ戻り、その頃に学校も始まる。オンとオフのメリハリがなければ、新しい技術も身につかない。また楽しいことを優先するから、得意なプレーを自覚主張し、伸びしろを残して武器を磨き上げていく。つまり根底に流れるのは合理性で、だからこそサッカーも最も質の高いプレーを引き出せて、ファンも満喫できる時期に行なわれている。

 しかし日本の場合は真逆だ。欧州や南米などではスポーツを指導するのは「コーチ」だが、日本では多くの現場で指導者は「先生」になる。「コーチ」は選手が目ざす所へ導く手助けをする存在だが、日本の「先生」は道標であり、明白な上下関係が成立するので生徒は黙従が常態化してきた。

 そして勤勉を美徳とする先生たちは、3年間休まず鍛え上げ、練習量で上回ることこそが勝利への道だと信じ貫いてきた。こうしてプロが誕生しても、疑うことなく真夏のナイトマッチが定着した。
 
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