【UEFAスーパーカップ】
○バルセロナ ５-４ ●セビージャ
［得点者］バ＝メッシ（７分、16分）、ラフィーニャ（44分）、スアレス（52分）、ペドロ（115分）　セ＝バネガ（３分）、レジェス（57分）、ガメイロ（72分PK）、コノプリャンカ（81分）
 
「史上最高の欧州スーパーカップだったのではないか」
　実況中継したスペインのテレビ局は、そんなコメントで試合を締めくくった。
 
　５-４でバルセロナがセビージャを破ったUEFAスーパーカップ。両チームにとって多くの収穫と課題が見えた試合だった。
 
［バルサの視点］
■イニエスタの重要性
 
　バルサはなぜ、４-１から追いつかれたのか。
 
　ひとつの理由は、主将のイニエスタの交代にある。
 
　イニエスタは63分、４-２の状況でピッチを後にしたが、この交代を境にバルサはセビージャのインテンシティに押されて主導権を失う。イニエスタがいなくなったために、ゲームをコントロールすることができなくなったのだ。
 
　試合のリズムを調整し、攻めるべきか、回すべきかを判断する役割は、これまではシャビが担っていた。しかし、その司令塔が控えに降格した昨シーズンから、その役割はイニエスタへ。新生バルサの縦に速い展開の中で、イニエスタはアタッキングサードで決定的な違いを生み出す「崩し役」から、ゲームの流れを左右する「コントロール役」に変わった。よりプレーメーカー的な要素を強めたのである。
 
　４-１から４-４に追いつかれたのは反省材料だ。しかし、ゲームを終わらせる「クローザー」としてのイニエスタの重要性が改めて浮き彫りになったという意味では、これも収穫だったかもしれない。
 
■ペドロの決定力
 
「ベンチスタートには驚いた」とペドロは試合後に語った。ネイマールが耳下腺炎（おたふく風邪）で欠場したこの試合、本人ならずともペドロの先発を予想した。
 
　試合前にバルサの新スポーツディレクター、ロベルト・フェルナンデスは「ペドロは移籍したいと私に伝えてきた」と、彼が移籍を望んでいることを初めて認めた（試合後にペドロは否定）。ペドロが先発落ちした理由は、明らかに移籍問題が絡んでいた。
 
　それでもペドロは、４-４で迎えた延長の115分、こぼれ球に素早く反応して決勝ゴールを奪い、改めて自身の価値を証明した。
 
　ネイマールに代わって左ウイングで先発したラフィーニャはゴールを決め（44分）、キープ力とドリブルで存在感を見せつけた。しかし試合後のマスチェラーノが語ったように、「ペドロは重要な試合を決めてくれる選手」だ。実際、これまでに何度も大舞台で決定的な仕事をしている。
 
　L・エンリケ監督としては、メッシ、ネイマール、スアレスの「トリデンテ」のバックアップとして、ペドロをベンチに置いておきたいというのが本音だろう。
 
　なにより今回のネイマールのように、シーズン中にはトリデンテの誰かが負傷や出場停止で離脱するケースが必ずある。その時に、はたしてMFのラフィーニャで十分に賄えるのだろうか。
 
　本当にペドロを放出していいのか――。試合後、議論が再燃している。