【FC東京】「一度は引退を考えた」元代表・石川直宏が、それでも現役にこだわる理由

カテゴリ:Jリーグ

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2016年05月27日

「8か月前に今の自分は想像できませんでした(笑)」

石川の躍動感溢れるプレーが、FC東京の攻撃を活性化させるか。ある意味、このベテランはキーマンのひとりだ。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト編集部)

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 だからといって、大きな焦りはない。戦列に復帰するまではもうしばらくかかる予定だが、石川は冷静に現状を見つめている。
 
「ピッチでプレーできない時、自分になにができるか。若手選手などにアドバイスする。サポーターにも言葉で発信する。僕は僕なりのやり方でやっていければいいと思っています」
 
 このベテランに刺激をもらっているのが、プロ1年目の室屋成だ。1月のアジア最終予選で活躍してリオ五輪出場を決めた若きSBは、翌2月、プロ入りを決断した数日後に左足を骨折した。
 
「リハビリを始めた頃はやる気の出る日と出ない日にばらつきがありましたが、石川選手にはそういうムラがなくて。僕よりもずっと長い期間リハビリをやっているのに、毎日ポジティブで、きついメニューでも決して弱音を吐かない。そんな先輩の姿を見ていたら『俺もやらなあかんな』と」(室屋)
 
 まさにプロの模範と言うべき石川だが、模範で終わるつもりはない。
 
「やはりピッチで結果を出さないとダメでしょうね。言葉でいくら言っても、説得力はありませんから。やるだけです。まあ、8か月前に今の自分は想像できませんでしたね(笑)。良い感じでここまで来ているので、ファン・サポーターの皆さんには元気な姿を見せたいですよね」
 
 「去り際は考えている」が、まだ石川にはやるべきことが残されている。今季のFC東京はなによりゴールが少ない。昨季の序盤戦で石川が見せてくれたような、豪快かつ華麗なゴールが少ない。このベテランがピッチに戻ってくれば、どこか停滞感が漂うFC東京も変わるのではないか。力強い言葉の数々からは、そんな期待感が窺えた。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)
 
 

5月26日発売号のサッカーダイジェストは、オーバーエイジ特集。果たして、リオ五輪のオーバーエイジ候補は誰なのか? 本命、対抗、大穴で予想してみました。またU-23日本代表企画では「残り15枠を巡るサバイバル」に迫り、6月復帰予定の室屋選手(FC東京)にインタビュー取材。クラブダイジェストでは、J2で好調の札幌を取り上げています。

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