【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』 其の五十二「禁じ手は、使いよう」

カテゴリ:特集

小宮良之

2016年01月07日

“いかにして手を使い、その場を制するか”という駆け引きは存在し続ける。

近年のフットボールでは、手を使ったファウルが厳しく取り締まられる傾向にある。一昨年のブラジル・ワールドカップでは開幕戦のジャッジが物議を醸した。(C)Getty Images

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<手、もしくは腕を使う>
 
 フットボールでは、たとえ手や腕でボールを触らなくても、基本的に“手の行使”そのものが奨励されない。例えば相手を手で引っ張ったり、突き飛ばしたり、叩いたりした場合も、ファウルの笛が吹かれる。場合によっては、イエローカードやレッドカードを覚悟しなければならない。コンタクトプレーにおいて、暗黙の了解のなかで手を使える範囲はあるわけだが、そこは曖昧である。
 
 昨今、ペナルティエリア内ではDFが手や腕で相手を制御する行為が厳しく取り締まられるようになっている。代表的なのが、2014年のブラジル・ワールドカップ開幕戦で物議を醸したジャッジだろう。クロアチア代表DFのデヤン・ロブレンがブラジル代表FWのフレッジを後ろから引き倒す形になった。シュート体制に入ったところでのホールディング。DFの左手はFWの左肩を掴み、右手は右腕を抱え込んでいた。
 
「こうした接触は、エリア内で十分あり得る。これがPKになったらDFは怖くてプレーできない!」
 
 そんな抗議の声も上がったが、ペナルティエリア内で手を使う行為は厳しく笛が吹かれる傾向になっているのだ。
 
 しかし矛盾しているようだが、“いかにして手を使い、その場を制するか”という駆け引きは存在し続けるだろう。その匙加減の重要性は、際どいプレーが多くなるなか、皮肉にもさらに増しつつある。相手との駆け引きで“手が使われない”ことはあり得ないのだ。
 
 とりわけ、ペナルティエリア内では熾烈な争いが繰り広げられている。敵陣でのセットプレー、アタッカーたちはここぞとばかりに畳み掛ける。当然、DFもそれに応ずるわけで、必死の形相での手や腕を使った押し合いへし合いになる。
 
 その予備動作で勝るかどうかで、勝負はほとんど決する。
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