戦いの準備のところで頭脳を働かせられる選手が、その技術を十全に発揮できる。
「限られた選手にしか見えないコース、知り得ないタイミングというのがある」
そう語っていたのは、レアル・マドリーの伝説的選手で1960~70年代に活躍したアマンシオ・アマロだ。9度のリーガ・エスパニョーラ制覇、2度の得点王を経験。マドリー伝説の「背番号7」として、エミリオ・ブトラゲーニョ、ファニート、ラウール・ゴンサレス、クリスチアーノ・ロナウドのルーツとなっている。
一流のストライカーは、敵DFの裏をかいたパスコースを、ステップを整えて身体の向きを変えるだけで生み出せるという。優れたパサーとさえ組んでいれば、そこにボールを流し込ませ、あっさりとゴールを決められる。心理的にも体勢的にも優位なストライカーは、GKと対峙した時も冷静に素早く、相手の動きを見切って、テンポをずらすだけで鮮やかな手並みで仕事を遂行する。
あるいは、そのゴールはイージーに見えるかもしれない。
しかしそこに至るプロセスは、目を瞠るものがある。ロマーリオやフィリッポ・インザーギがなぜ得点を量産できたのか? 彼らよりも速く、高く、あるいは同じくらい上手いストライカーはたくさんいた。しかしふたりはDFと対峙する直前、一瞬でも敵よりも有利な状況を作っていたのである。結局のところ、戦いの準備のところで頭脳を働かせられる選手が、その技術をも十全に発揮できるのだろう。
「戦わずして勝つ」
そんな兵法に意訳してもいい。相手よりも優勢に立っていれば、負ける可能性は自ずと低くなる。
攻撃者に備わるその能力は、守備者にも同様にあるだろう。
例えば優れたGKはFWがシュートを撃つ前にコースを狭め、選択肢を少なくし、それによってストレスを与えられるという異能を持つ。タイプは違っても、マヌエル・ノイアー、イケル・カシージャス、ジャンルイジ・ブッフォン、ペトル・チェフ、ティボー・クルトワらはその有能者と言えるだろう。
シュートを撃たれる前に、勝負を決めている。
「兵は機先を制する」とも言い換えられるが、先手において上回った場合、相手は自ずと後れを取る。
それは個人×個人だけでなく、集団×集団の戦いにも当てはまるだろう。
そう語っていたのは、レアル・マドリーの伝説的選手で1960~70年代に活躍したアマンシオ・アマロだ。9度のリーガ・エスパニョーラ制覇、2度の得点王を経験。マドリー伝説の「背番号7」として、エミリオ・ブトラゲーニョ、ファニート、ラウール・ゴンサレス、クリスチアーノ・ロナウドのルーツとなっている。
一流のストライカーは、敵DFの裏をかいたパスコースを、ステップを整えて身体の向きを変えるだけで生み出せるという。優れたパサーとさえ組んでいれば、そこにボールを流し込ませ、あっさりとゴールを決められる。心理的にも体勢的にも優位なストライカーは、GKと対峙した時も冷静に素早く、相手の動きを見切って、テンポをずらすだけで鮮やかな手並みで仕事を遂行する。
あるいは、そのゴールはイージーに見えるかもしれない。
しかしそこに至るプロセスは、目を瞠るものがある。ロマーリオやフィリッポ・インザーギがなぜ得点を量産できたのか? 彼らよりも速く、高く、あるいは同じくらい上手いストライカーはたくさんいた。しかしふたりはDFと対峙する直前、一瞬でも敵よりも有利な状況を作っていたのである。結局のところ、戦いの準備のところで頭脳を働かせられる選手が、その技術をも十全に発揮できるのだろう。
「戦わずして勝つ」
そんな兵法に意訳してもいい。相手よりも優勢に立っていれば、負ける可能性は自ずと低くなる。
攻撃者に備わるその能力は、守備者にも同様にあるだろう。
例えば優れたGKはFWがシュートを撃つ前にコースを狭め、選択肢を少なくし、それによってストレスを与えられるという異能を持つ。タイプは違っても、マヌエル・ノイアー、イケル・カシージャス、ジャンルイジ・ブッフォン、ペトル・チェフ、ティボー・クルトワらはその有能者と言えるだろう。
シュートを撃たれる前に、勝負を決めている。
「兵は機先を制する」とも言い換えられるが、先手において上回った場合、相手は自ずと後れを取る。
それは個人×個人だけでなく、集団×集団の戦いにも当てはまるだろう。