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J1残留を占う大一番『湘南×徳島』をプロ分析官が徹底展望! 両チームともに理想は前節の得点シーン

カテゴリ:Jリーグ

サッカーダイジェストWeb編集部

2021年11月26日

徳島の敵陣での攻撃vs湘南の自陣での守備

徳島が敵陣でボールを保持している際のマッチアップ【図4】

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 間違いなく徳島の起点となるのが8番の岩尾選手です。

 ショートパス、長いボールでのサイドチェンジ、一発でボックス内を狙うようなボールも出せる。あるいはワンツーで自分が入っていくという形もあり得ます。明らかにキーパーソン。

 そのため、徳島の攻撃としては岩尾選手を中心にどれだけ左右に散らしていけるか。その散らしている間にボックス内にどれだけ人数をかけられるかが最大のポイントになると思います。

 湘南はベタ引きで守ることはないでしょうが、状況や展開によっては【図4】のようなケースも十分考えられます。

 その際に徳島の打開策のひとつが、左ウイングの西谷選手のドリブルです。それを生かすためにも、この試合不在のジエゴ選手に代わって左サイドバックに入った選手がどれだけサポートに入れるかがポイントになりそうです。

 もうひとつの打開策が右サイドへの大きな展開です。高い位置をとる岸本選手が岩尾選手からのボールを受けて、縦へのスピードで勝負を仕掛けるという形があります。この両サイドバックの立ち位置に注目です。

 徳島は前節こそ2点取れましたが、なかなか複数得点が奪えない要因として、相手の背後を狙う動きが乏しい印象があります。もし岩尾選手がフリーでボールを持てた時に、【図4】のような点線の動きで、相手の最終ラインの裏をとる選手と回数をどれだけ増やせるかが得点を奪うための注目点になるでしょう。


 湘南は、まず相手のキーマン岩尾選手を誰が見るか。ウェリントン選手が見続けることは少し難しいかなと思いますし、茨田選手が出て、舘選手がひとつ前に出てくるという選択もあると思います。フリーの田中選手が出ていくこともできなくはない。

 インサイドハーフを押し出すという選択をした際には、3バックのスライドが非常に重要になります。茨田選手が前に出た際には舘選手が上がり、空いたスペースに垣田選手が走ると大岩選手が付いていかないといけない。それを見越して岩尾選手が大岩選手の背後の空いたスペースへボールを出してきた際の対応はどうするのか。

 インサイドハーフを押し出すのであれば、3バックの横のスライドと、ウイングバックの絞りも気にしなければいけません。

 もうひとつ重要なのは5バックのライン設定です。【図4】ではボックス内に入ってしまっていて、ラインが低すぎます。これまでの湘南の戦いではボールホルダーへの圧力は非常にアグレッシブでした。ここ2試合無失点なのも、ずっと引いて守るのではなく、チャンスがあればアタックしてボールを奪い切るという姿勢がどの選手からも見受けられたからです。そのアグレッシブさを失うようなライン設定ではやられてしまう可能性が高い。そういう意味でもライン設定を注視したいですね。
 

Jリーグ優勝クラブで活動していたアナリストの第一任者杉崎健氏。Twitter(https://twitter.com/suzakken)やオンラインサロン(https://community.camp-fire.jp/projects/view/356767)などでも活動中。

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 両チーム残留するためには負けられない大一番。条件としては、湘南は勝利すれば残留決定。引き分けでも得失点差が清水エスパルスと15、徳島とは16あるので、事実上残留確定と言っても差し支えないでしょう。

 徳島は、引き分けだった時に降格決定とはなりませんが、清水が勝利した場合には相当厳しい条件になります。アウェーですが、勝つしかないという状況。もし敗れた場合、清水が引き分け以上なら降格が決まってしまいます。

 当然の話ですが、どの時間帯でどちらが先に得点を奪うかで、大きくそれぞれの立場が変わる一戦となるでしょう。

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Jリーグ優勝クラブで活動していたアナリストの第一任者杉崎健氏。Twitter(https://twitter.com/suzakken)やオンラインサロン(https://community.camp-fire.jp/projects/view/356767)などでも活動中。

【著者プロフィール】
杉崎健(すぎざき・けん)/1983年6月9日、東京都生まれ。Jリーグの各クラブで分析を担当。2017年から2020年までは、横浜F・マリノスで、アンジェ・ポステコグルー監督のもとで、チームや対戦相手を分析するアナリストを務め、2019年にクラブの15年ぶりとなるJ1リーグ制覇にも大きく貢献。現在は「日本代表のW杯優勝をサポートする」という目標を定め、プロのサッカーアナリストとして活躍している。Twitterやオンラインサロンなどでも活動中。

◇主な来歴
ヴィッセル神戸:分析担当(2014~15年)
ベガルタ仙台:分析担当(2016年)
横浜F・マリノス:アナリスト(2017年~20年)

◇主な実績
2017年:天皇杯・準優勝
2018年:ルヴァンカップ・準優勝
2019年:J1リーグ優勝
 
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