湘南が敵陣に押し込んだ際には、自陣では相手に捕まえられていたインサイドハーフが重要な役割を担います。

　平岡選手と茨田陽生選手は留まることなく動き続けられる選手。真ん中にいることもあれば、サイドバックの裏に抜けることもあり、どうやって相手を引っ張ってスペースを作れるかが湘南にとって大事な要素になります。

　相手のサイドバック裏に動き出した際に、相手のインサイドハーフが付いてくるとすれば、【図２】の赤い円のエリアが誰もいなくなり、スペースが生まれます。その部分は徳島のウィークポイントでもあるアンカー脇。そこへ２トップのどちらかが下りる、または、ウイングバックが中へ入ることでチャンスメークができると思います。

　前節の仙台戦では、大きなサイドチェンジからもチャンスを創出しています。湘南は逆サイドのウイングバックは外に開いて幅をとっていることが多く、大きな展開から１対１のチャンスを作り出すシーンも狙っています。

　徳島の中盤は３枚なので、スライドが遅れる場合がある。ここでもビルドアップのシーンと同じで、アンカーの田中選手の右から左への展開がカギになりそうです。

　その先のフィニッシュの局面では、ウェリントン選手をはじめとした高さの脅威もあります。このブラジル人ストライカーは、特長としてクロスボールをファーサイドで待ち構えることが多く、徳島も分かっていること。そのため、ボックス内での立ち位置を変えてくることも考えられます。

　徳島のボックス内での守備はここ数試合、崩れているわけではありませんが、前節でPKを与えるシーンもあったように、不安定さも垣間見えています。湘南としてはクロスを送り込み相手に対応させる場面を作り続けられるかもキーポイントとなりそうです。
 

　一方、徳島の対応としては、インサイドハーフふたりの守る位置と誰を見るかがひとつのポイントになります。

　対峙する相手インサイドハーフがサイドの裏のスペースを狙って動いた際に、アンカー脇のエリアを空けたくないという心境も分かりますが、付いていかないと簡単にチャンスを作られてしまう。

　また、相手のアンカー田中選手がボールを保持した際には、垣田選手が対応することになりますが、常に下がってきて守備をさせるわけにもいかず、フリーになってしまう可能性がある。こういう状況でどれだけ付いていって、誰を見るのか。インサイドハーフふたりの振る舞いに注目です。

【図２】では相手が右サイドから攻撃している形にしましたが、徳島はジエゴ選手が出場停止で、左サイドの守備は普段と組み合わせが変わります。湘南は動くチーム。左サイドの守備時のマーキングや受け渡しといった連係面では細心の注意が必要です。

　もうひとつ、ゴール前でのクロス対応にも要注意。もちろんクロスを簡単に上げさせないというのは前提ですが、クロスボールが上がった際には、ファーサイドにいることが多いウェリントン選手への対応が課題です。ポジショニングや誰が見るかなど、入念な準備が必要でしょう。