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川島永嗣が振り返る2003年ワールドユース。ついに打ち破った韓国の壁と、厚すぎた南米の壁【U-20激闘譜】

カテゴリ:連載・コラム

元川悦子

2020年07月05日

ブラジル相手に大敗…「世界との差という言葉はもう二度と言いたくないと思った」

U-20日本代表の守護神に君臨した川島はその後、アテネ五輪でもゴールを守った。写真:サッカーダイジェスト写真部

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「どうしても勝ちたかった韓国に勝って、みんな『ヤッター』と喜びを爆発させていました。その傍らで坂田が不機嫌そうだったのをよく覚えています。大熊さんはエースを外して奮起するのを期待していたんだろうし、フランスでもそういう監督は見ますけど、若い頃はその意図を理解しづらいと思う。坂田にも複雑な感情があったんでしょうね」

 川島はこう述懐したが、負けん気が強いのは彼だけはなかった。毎回のように途中交代させられていた小林大悟(バーミンガム・レギオン)も、最終ラインの栗原、近藤、永田らもみな意見をハッキリ言うタイプで、強烈な個性派集団を束ねる指揮官はかなり手を焼いていた。「自分が悪者になって選手が力を出してくれるならそれでいい」とのちに語ったことがあるが、その刺激が選手個々を大きく伸ばしたのは事実と言っていい。

 そんな彼らも準々決勝・ブラジル戦は手も足も出なかった。開始15分間で3失点を食らい、終わってみれば1-5の惨敗。コロンビア以上に大きな実力差を突きつけられた。号泣した川島は「そこまでの戦いで得た自信が全て打ち砕かれるほどの大きなショックを受けました。同時に『世界との差』という言葉はもう二度と言いたくないと思った。あの大敗が転機になったのは確かです。その後、A代表になり、海外に出て、今も向上心を持ち続けられているのも、U-20の経験が大きいですね」とキッパリ言う。今も現役を続ける今野、徳永悠平や角田誠(ともに長崎)らもここでスイッチが入ったのかもしれない。

 この8強メンバーのうち、川島と今野がのちにワールドカップ出場を果たし、栗原や永田、菊地、徳永、平山らがA代表に上り詰めた。彼らに共通するのは球際や1対1の強さ、タフさを備えていること。「デュエルに強い3バックとボランチがいたことは、最後尾にいる自分にとって大きな安心感につながった」と川島も言う。「世界で戦える選手」にフォーカスした選手選考と育成は、20年近い時間が経過した今も大いに参考にすべきだろう。

取材・文●元川悦子(フリーライター)
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