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「長谷部誠にはなれない」後継者・吉田麻也が背負う重圧と立ちはだかるコロナ禍【日本代表キャプテンの系譜】

カテゴリ:連載・コラム

元川悦子

2020年06月15日

短期連載コラム『日本代表キャプテンの系譜』最終回 吉田麻也|英語を自在に操り、人の考えを理解する器の大きさとユーモアを持ち合わせる人物

長谷部の後を受け継ぎ、キャプテンを務める吉田。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 98年フランス大会から6度のワールドカップに出場している日本代表を力強くけん引したのがキャプテンの存在だ。井原正巳(柏ヘッドコーチ)をはじめ、森岡隆三(解説者)、宮本恒靖(ガンバ大阪監督)、長谷部誠(フランクフルト)と過去4人が大役を務めているが、それぞれ困難や苦境に直面し、自分なりのアプローチで解決策を見出してきた。最終回は、直近のロシア・ワールドカップ後に長谷部からバトンを渡された吉田麻也をクローズアップする。(文●元川悦子/フリーライター)

――◆――◆――

「僕も7年半、彼と一緒にやってきましたけど、あれだけチームのことを考えてプレーできる選手は少ないでしょうし、彼の姿勢から学ぶことはたくさんあったので。自分はどうあがいても長谷部誠(フランクフルト)にはなれない。自分のスタイルで代表を引っ張っていかないといけない。でもああいう選手の後をやるのは、やっぱりやりづらいですね……」

 日本がラスト14秒でベルギーの高速カウンターに屈した2018年ロシア・ワールドカップ(W杯)ラウンド16の翌7月3日。2010年南アフリカW杯から8年間、日本代表のキャプテンマークを巻いてきた長谷部が代表引退を正式表明したのを受け、次期キャプテンと目された吉田麻也(サンプドリア)が号泣しながら偽らざる心境を語った。

 川島永嗣(ストラスブール)が「マコ以外のキャプテンというのはハードルが高い」と太鼓判を押した通り、圧倒的存在感を誇ったリーダーの後を引き継ぐのは大きな重圧が伴う。森保監督もその配慮があったのか、欧州組招集を見送った2018年9月シリーズでは、サンフレッチェ広島時代から長い間信頼関係を構築してきた青山敏弘(広島)に重責を託したが、続く10月シリーズからは吉田にバトンタッチ。新たなキャプテンが決まった。

「マヤはご存じの通り、日本代表の中でトップクラスの経験の持ち主。世界でもトップリーグで戦っている。自分自身、つねに向上心を持ってチーム内で全力を尽くしているし、チームを機能させるためにコミュニケーションを取りながらやっている」と指揮官は卓越した国際経験値を高く評価。その言葉通り、当時30歳の吉田には2014年ブラジル・2018年ロシアと2度のW杯経験、オランダ・イングランドで足掛け11シーズン戦い抜いてきたキャリアがあった。

 日本代表にはこれまで松田直樹、中澤佑二(解説者)、田中マルクス闘莉王といった能力の高いセンターバック(CB)がいたが、その彼らにもそこまでの欧州経験はなかった。英語を自由自在に操り、さまざまなキャラクターを持つ人の考えを理解できる器の大きさ、そしてユーモアもある。そんな人材は、そうそうお目にかかれるものではない。森保監督があえて大役を任せたのも頷ける話だ。
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