【黄金の記憶】風雲児・稲本潤一はアーセナルでなにを迷い、なにを決断したのか

カテゴリ:Jリーグ

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2020年05月06日

「海外でやれる環境があるのに、それを捨てる選択肢はなかった」

 ガラタサライは伝統と格式のある素晴らしいビッグクラブだったという。だが、トルコの国民性なのかお家芸なのか、給料未払いの悪習は容赦なく稲本をも襲った。「面白い1年間やったけど、あれはマイった。FIFAに間に入ってもらってなんとかなりましたけどね」と、苦笑いを浮かべる。
 
 その後はドイツのフランクフルトで2年、フランスのレンヌで半年を過ごした(ガンバの元監督、フレデリック・アントネッティとの再会を果たした)。「そこまでいろんな国を旅するタイプだとは思わなかったけど?」と投げかけると、「そう、そうなんよね」と頷き、こう答えた。
 
「レンタルのカーディフを入れると、ヨーロッパでは全部で7チーム。なんというか、移籍に対する考えが柔軟になっていったかな。イングランドを飛び出してガラタサライに行ったくらいから、まるで苦じゃなくなった。サッカーしてたら自然と選手とは仲良くなるし、ゲレツさんは英語を話してくれて、トルコのひとらも親切やったんでね」
 
 日本に帰る選択肢はなかったのか。その問いかけに対しては、きっぱりこう答えた。
 
「自分を必要としてくれるクラブがあるうちは、ヨーロッパにいたかった。いっかい帰ってしまうと、自分の性格的にもういっかい出るのは厳しいと思ってたから。日本やとなんでも揃ってますからね。海外でやれる環境があるのに、それを捨てる選択肢はなかった」
 
 そして2010年1月、稲本は川崎フロンターレへの完全移籍を果たす。この時、30歳。アーセナルへ旅立ったあの日から、およそ9年の歳月が流れていた。
 
文●川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

※2017年9月掲載分より抜粋、再編集。

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