最大の難関は…
そして最大の難関になりそうなのが、26節の鹿島戦。札幌戦、名古屋戦、さらにルヴァンカップの2試合(対戦相手はG大阪/第1戦が9月4日、第2戦が同8日)もある影響で、移動での蓄積疲労が気になるタイミングでの対戦となる。
リーグ戦での過去6試合は5勝1分けと、近年に限れば鹿島に勝ちこしている。それでも、舞台は2016年まで鬼門だった県立カシマサッカースタジアム。鹿島がこのまま2位をキープして激突すれば、独特の雰囲気になるのは間違いない。勝負どころでことごとく勝ってきた印象が強い常勝軍団を打ち破るのは簡単なミッションではないだろう。
とはいえ、逆に言えばここで鹿島を倒せば俄然勢いに乗れる可能性はある。今季のFC東京は、リーグ戦に限れば先制した13試合のうち引き分け以下はわずかひとつと、先行逃げ切りが得意。アウェーの鹿島戦でも2トップ(D・オリヴェイラと永井)のスピードを生かした速攻で先手を取れれば勝機は膨らむ。
この3試合を全勝とは言わないまでも勝ち越した時点で、FC東京の優勝確率はだいぶ上がるはず。「このまま逃げ切れるのか」、それはアウェー8連戦の最初の3試合次第と言えそうだ。
なお、仙台戦後、室屋に「このまま逃げ切るのか」と訊くと、こう答えてくれた。
「正直、今は危機感しかない。昨季はシーズン途中で失速(21節のG大阪戦からリーグ8戦未勝利)しましたし、今後どうなるかなんて分からないですよね。下位に沈むチームに負ける可能性もあるので、油断はできません。自分たちはあくまでチャレンジャー。首位という実感はないし、目の前の試合に集中するだけです。アウェーが苦手という意識はないので、一つひとつ勝点を拾っていきたいです」
あくまで「個人の見解」であることを強調した室屋だが、昨季に失速した経験が良い意味でのプレッシャーになっているのは確か。森重も「気を抜けば昨季と同じ轍を踏む可能性がある」と話すように、チームに慢心はない。
東は言う。「ここから何かを変える必要はないし、自分たちの良さを出すことに集中すればいい」その先に栄冠があるだろうことを、選手たちは確信している。
取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集長)