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【回想コラム】急成長を遂げる五輪年代。北京世代の長友、岡崎が頭角を現わす転機となった一戦

カテゴリ:日本代表

浅田真樹

2014年08月22日

「南ア」後の中心世代となっていった北京世代。

南アフリカW杯を境に、長友、岡崎ら北京世代は日本代表の中核を担った。 (C) SOCCER DIGEST

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 果たして、新戦力がはつらつとした動きを見せたマレーシア戦は、3-1の勝利で終えている。試合後の記者会見では、メディアの関心は当然、今後の可能性を含めた新戦力の評価に及んだ。
 
 もちろん、反町がそれぞれの選手について評価を口にすることはなかった。だが、彼独特の表現でこんなふうに答えている。
「具体的な選手名は挙げないけれども、マルもいたし、サンカクもいたし、バツもいた」
 
 長友や岡崎については、どうだったのか。今となっては聞くまでもない質問に、間髪入れず返ってきた答えは、「マル」だった。この試合で先制点を決めるなど、高い評価を受けた長友は、後に大学卒業を待たずにプロへの道を歩み出すことになる。
 
「彼の人生にとってよかったのかどうか分かんないけど、そのための1試合だった。試合は90分だけど、その前の合宿も含めると、その刺激は相当なものだったと思う」
 
 そして、最後に反町に尋ねる。北京五輪に出場していた選手が3名、しかも主力として間もなく始まろうとする南アフリカ・ワールドカップに臨む。五輪代表の使命としては十分な成果と言えるはずだが、その満足度はいかほどのものか。
 
「満足は別にないよ。一番大事なのは、そこ(ワールドカップ)で何ができるかだから」
 数週間後、日本代表は南アフリカの地に立った。
 
 ところが本大会が始まると、内田は先発落ちし、岡崎はスーパーサブへと配置転換。長友こそ全4試合に先発フル出場したものの、大会直前に当時の日本代表監督、岡田武史が戦術変更に踏み切った影響もあり、彼らの立場は大きく揺らいだ。
 
 結果的に、同じ北京世代の本田圭が彼らに代わって活躍することになるのだが、反町が口にした「そこで何ができるか」という尺度で言えば、世代全体としてのインパクトは薄らいだことになる。
 
 しかし、北京世代にとっての南アフリカは、その後に続くストーリーの序章に過ぎない。北京五輪に出場した、内田、長友、岡崎、本田圭、吉田麻也、香川真司は、南アフリカ後の日本代表を常に主力として引っ張ってきた。現在の日本代表において、北京世代は押しも押されもしない中心世代である。
 
 しかも、その勢力はとどまるどころか、さらに拡大の可能性を秘める。その代表格が豊田陽平だ。
 
 思えば、北京五輪の3試合を通じて日本唯一のゴール(ナイジェリア戦)を決めたのは、豊田だった。惨敗した日本の救いとなったストライカーは、ゴールを量産し続ける現在、A代表選出への期待が最も高い選手のひとりとなっている。
 
 豊田だけではない。それぞれの所属クラブで主力として活躍する水本裕貴、森重真人なども、今後日本代表に選出されたとしても不思議はない。彼らの活躍次第でさらに北京世代の存在感は強まるはずだ。
 
 もしも彼らが日本代表に名を連ね、来年6月、ブラジルへと渡るようなら。いよいよ北京世代は空前のタレント世代として、日本サッカー史に燦然と輝くことになる。
 
文:浅田真樹(スポーツライター)
 
※『週刊サッカーダイジェスト』2013年7月9日号より
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