【現地発】ミランの「笑えない矛盾」。快進撃の裏で…

カテゴリ:メガクラブ

片野道郎

2018年02月20日

ドンナルンマとスソの二枚看板は夏にも…。

無駄遣いの末にこのドンナルンマ、そしてスソを手放すとなれば、首脳陣の批判は避けられないだろう。写真:Alberto LINGRIA

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 とはいえ、昨夏にクラブが鳴り物入りで獲得した11人の新戦力のうち、レギュラーとして生き残ったのは5人に過ぎないという点には注目しておく必要がある。
 
 右SBのアンドレア・コンティは故障で長期離脱中(3月中に復帰予定)だが、その穴は生え抜きの2人(カラブリア、アバーテ)が十分に埋めている。CBもボヌッチの獲得によってムサッキオへの投資が無駄になった。最大の補強ポイントと言われたCFに至っては、合わせて6300万ユーロ(約81億円)を投じたカリニッチ、A・シルバを差し置いて、やはり生え抜きのクトローネがレギュラーの座を固めつつある。
 
 昨夏のメルカートに投じた2億ユーロ以上の予算のうち、有益な投資だったと言えるのは1億3000万ユーロ(約169億円)ほど。残る1億ユーロ弱は無駄とは言わないまでも、不要不急の支出だったということになる。
 
 この大型投資も大きな理由のひとつとなって、今シーズンのミランはUEFAが定めるファイナンシャル・フェアプレー規程の枠を大幅に超える赤字を計上することになる。現時点の見通しでは、今夏のメルカートでその赤字を穴埋めするためにドンナルンマ、スソという二枚看板の売却を強いられる可能性大だ。
 
 この2人を手放せば間違いなく1億ユーロを超える利益が手に入る。しかし、ムサッキオ、カリニッチ、A.シルバ、コンティといった戦力にならなかった選手の獲得費用を穴埋めするために、絶対的な主力であるドンナルンマとスソを手放すことになるとすれば、それこそまったく笑えない矛盾であり、マルコ・ファッソーネGD、マッシミリアーノ・ミラベッリSDによる経営戦略と補強戦略の明らかな失敗を意味する。
 
 その意味で、ピッチ上に関しては監督交代の成功によって部分的な「軌道修正」が行われたとはいえ、ピッチ外を含めたミランの未来はなお不透明なままだと言わざるをえないのが現状ではある。
 
文:片野道郎
 
【著者プロフィール】
1962年生まれ、宮城県仙台市出身。1995年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中だ。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させている。『ワールドサッカーダイジェスト』誌では現役監督とのコラボレーションによる戦術解説や選手分析が好評を博す。新著『それでも世界はサッカーとともに回り続ける:「プラネット・フットボール」の不都合な真実』が2017年12月に刊行された。
 
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