ガットゥーゾが就任当初から不動の主力メンバーとして扱ってきたのは、GKドンナルンマ、CBボヌッチ、左SBロドリゲス、インサイドハーフのケシエとボナベントゥーラ、そして右ウイングのスソという６人。残る５つのポジションは複数のプレーヤーが争う形だった。
 
　右SBは若いカラブリアが、その走力を活かした攻撃参加の積極性と頻度、そしてクロスの正確性で、同じ生え抜きのベテランであるイニャツィオ・アバーテに差をつけた。
 
　CBの一角は、ボヌッチとペアを組みやすい左利きでビルドアップ能力に優れ、若さゆえに伸びしろを残しているロマニョーリが、昨夏当初の段階で自分とペアを組むはずだった（ボヌッチ獲得は当初の構想にはなかった）新戦力マテオ・ムサッキオをベンチに追いやっている。
 
　中盤の底からチームを操るレジスタは、新戦力のビグリアがモンテッラの戦術に馴染めず調子を落としていたこともあり、当初はリッカルド・モントリーボがスタメンだった。しかし縦のスピードをより重視するガットゥーゾの戦術により適したプレースタイルを持つビグリアが徐々に盛り返し、ウインターブレイクを境にしてレギュラーに返り咲いている。
 
　CFは当初起用された二コラ・カリニッチが結果を残せず、サン・シーロの観客にブーイングの口笛を吹かれるなど困難な状況に陥ったこともあり、生え抜きの若手クトローネと、ポルトガル代表でクリスチアーノ・ロナウドと２トップを組む有望株アンドレ・シルバの一騎打ちとなった。ここでも、より献身的なプレースタイルに加えてミラン育ちという有利さもあってサポーターの支持を受け、それを追い風にしてポジティブな結果を積み重ねたクトローネが、絶対的なタレントとクオリティーで上回るA・シルバを控えに追いやってスタメン出場を重ねている。
 
　そして左ウイングは、モンテッラにインサイドハーフや２シャドーの一角で起用されたものの、周囲との連携を見出せず困難に陥っていたチャルハノールが、よりワイドな位置を起点とするこのポジションにピッタリはまって、同じ新戦力のファビオ・ボリーニとのポジション争いに勝利を収めた。