【現地発】ミランの「笑えない矛盾」。快進撃の裏で…

カテゴリ:メガクラブ

片野道郎

2018年02月20日

スソ一辺倒だった崩しにもバリエーションが。

左ウイングで攻守に奮闘するチャルハノール。ガットゥーゾが再生したひとりだ。写真:Getty Images

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 戦術的な観点から見ると、ガットゥーゾは当初、前任者のモンテッラが進めていたポゼッション確立によるゲーム支配とボールロスト直後の即時奪回を基本とするポジショナルプレー志向のスタイルを棚上げ。より少ない手数で前線にボールを送り届けてラスト30メートルはアタッカー陣(とりわけスソ)の個人能力に委ね、チームの重心を低めに設定して守備を安定させるというアプローチを取った。
 
 就任からウインターブレイクまでの6試合は2勝2分け2敗、しかも格下のヴェローナに敗れ最下位ベネベントに引き分けてシーズン最初の勝点を献上するなど、避けられないもたつきがあった。しかしウインターブレイクの2週間を経て、シンプルに整理された戦術がチームに浸透すると同時にメンバーも固まると、そこからは7試合負けなし(5勝2分け)と完全に軌道に乗った感がある。
 
 ガットゥーゾはポジティブな結果を重ねてチームに自信がついてきたのに合わせて、チームの重心を少しずつ上げて、ボールロスト時はもちろん敵のビルドアップに対しても前からプレッシャーをかけていく時間帯を伸ばすなど、より自らのサッカー哲学に近いアグレッシブなスタイルへと舵を切りつつある。
 
 攻撃も、敵陣にボールを運んでからの崩しを右サイドのスソにほとんど頼っていたモンテッラ時代と比べて、左サイドでもボナベントゥーラとチャルハノールの連携からの崩しが機能しはじめたことで、よりバリエーションが広がっている。
 
 最後のフィニッシュに関しては、サイドからのクロスに対しても中央からの崩しに対しても、前線でCFクトローネが孤立して数的不利に置かれているケースが多く、それを補うようにスソとチャルハノールがミドルシュートを打ち過ぎる傾向が見られる。
 
 とはいえそれも、右サイドをえぐったカラブリアからのマイナスのクロスに、後方から走り込んできたボナベントゥーラが合わせたサンプドリア戦の決勝ゴールの場面に見られるように、「ペナルティーエリア内の密度を高める」というプレー原則の浸透によって徐々に解消されていきそうだ。
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