【黄金世代・復刻版】1999 ワールドユース激闘録~銀色の軌跡(後編)

カテゴリ:特集

サッカーダイジェストWeb編集部

2017年05月08日

明日につながるフィナーレ。

守備から崩れた日本。終了のホイッスルが鳴るまで、小笠原(中央奥)ら攻撃陣は諦めずに1点を追ったが……。写真:ヤナガワゴッー!

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[決勝:日本 0-4 スペイン]
 
得点者:バルケーロ(5分)、パブロ2(14分・33分)、ガブリ(51分)
 
出場メンバー:GK南/DF辻本、手島、中田/MF遠藤、酒井、本山、氏家(46分・稲本)/FW高原(56分・播戸)、永井(69分・高田)

明日につながるフィナーレ
 

 キックオフから5分後だった。
 
 GK南のオ-バーステップにより、スペインはペナルティーエリア内で間接FKを得る。1タッチからバルケーロが放ったシュートは、日本選手たちがジャンプした壁の下をすり抜けたゴールネットを揺らした。戦前から前半の猛攻に定評があったスペインに、与えてはならない得点を与えてしまったのだ。
 
 いきなり厳しいスタートを余儀なくされた日本だったが、逆境には慣れている。すぐさま反撃に打って出た。失点から3分後には、本山がDFラインの裏に抜け出し、DFフスエに倒される場面を創出。ノーファウルと判定されたものの、失点のダメージはまったくなさそうに見えた。
 
 だが、以降はまるで歯が立たなくなる。勢いに乗ったスペインは強烈だった。持ち前のパスワークとフィジカルの強さを前面に押し出し、徐々に日本を圧倒していく。サイドの仕掛けもじつに効果的で、主導権を握り続けた。
 
 累積警告で小野が出場停止となり、大黒柱を欠いての大一番だった。トルシエ監督は大会初登場の氏家を中盤に抜擢起用し、言うなれば奇策に打って出る。だが練習で試してもいない3ボランチが機能するはずがなく、個々の役割がはっきりしないまま、混乱の度合いを高めていった。
 
 たしかに日本にもチャンスはあった。しかしそこで決め切れず、致命的なカウンターを食らうと、14分と33分に被弾。後半はゲームを落ち着かせんとラインをグッと下げたスペインを攻め立てるが、それでも効果的な打開策は見出せなかった。逆に51分、またしてもカウンターから4点目を献上。完全に勝敗は決した。
 
 なんとか一矢報いようと、播戸や高田がエネルギッシュにスペインゴールを目ざしたが、スコアは0-4のまま変わらず、タイムアップを迎えた。
 
 最後まで執念を見せた日本。無念さと安堵感が交錯する選手たちの胸元には、その将来を暗示するかのように、銀のメダルが光り輝いていた。
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