• トップ
  • ニュース一覧
  • タイに渡った「昇格請負人」――永里源気が明かす異国での生活と昇格争い、家族・兄妹のこと

タイに渡った「昇格請負人」――永里源気が明かす異国での生活と昇格争い、家族・兄妹のこと

カテゴリ:海外日本人

佐々木裕介

2016年11月03日

「2年契約で、あと1年。いらない! と言われない限りバンコクでプレーするつもり」

ポートFCのサポーターは試合開始直前まで屋台で飲んで大いに語らう。

画像を見る

――タイで3シーズン通してプレーされてみて、永里選手は“タイのサッカー”をどう感じていらっしゃいますか?
 
 う~ん、難しいですね。日本サッカーとの比較という尺度でも『類が違う』ので難しいかなと思いますね。簡単に言えば、日本は組織、タイは個人勝負の集合体なんです。またJリーグで活躍できたからといって、タイで活躍できるとは限らないとも思います。プレーレベルとかではなくて、先ず環境に適応しなければ、その先はないですから。間違いなくメンタルは鍛えられますよ~(笑)。
 
――タイでプレーして“こいつはヤバい!”と感じた選手はいましたか?
 
 外国人選手になってしまうのですが、ラチャブリーでチームメイトだったヘベルチ(草津、C大阪、仙台でもプレーした経験を持つブラジル人選手)は凄い選手です。Jリーグ時代の彼を知るファンからすると別人じゃないかと思うくらいに成長して、何でもできる選手へ変貌を遂げていますよ。実際タイでの実績(2014年は26得点で得点王、2015年には19得点)が買われて、今はサウジアラビアの強豪チーム(アル・シャバブ・リヤド)でプレーしていますし。
 
――ポートFCのクラブオーナー(マダム・ペーン/保険会社を経営する美魔女的実業家)は、タイサッカーファンの間ではかなりの有名人です。実際どんな方なのでしょうか?
 
 そこまで話す機会は多くないのですが、非常に選手思いのオーナーだとは感じます。
 
――先日スタジアムへ現場取材へ寄らせてもらった際に、試合後のVIPゲート横にオーナーのロールスロイスが横付けされているのを見てびっくりしました。
 
 家も強烈ですよ~。よく自宅に選手を招待してくれて食事を振舞ってくれるのですが、そこでも選手思いで、タイ飯が苦手な外国人選手向けに洋食も用意してくれたりとすごく気を遣ってくれるんです。しかもその洋食がすごく美味しくて。ハイソサエティな気分を味わえるひとときです(笑)。
 
――私はポートFCのホーム“PATスタジアム”が大好きなんです。バンコクの中心地にあってサッカー専用、ファンは良くも悪くも熱狂的でスタジアムの雰囲気が素晴らしい。試合の日はお祭りのような活気で満ち溢れています。私のスケールでは“これぞ首都クラブのホーム”という感覚なんです。
 
 実は今シーズンの開幕戦、試合前のエピソードなんですが、ウチのチームは試合当日、スタジアムへ自分で移動するんです。Jリーグではないスタイルですよね。私は練習日と同じ道で向かったのですが、毎日通っている導線上にその屋台群があることを知らなかった私は、盛り上がっているファンの間をコソっと通り抜けようと試みたのですが、捕まってしまって。開幕戦前に受けた『熱烈なホームの洗礼』でした(苦笑)。
 
――場所柄、ファンにはファラン(白人)も多く、入場前に屋台でビールをたらふく飲んで開始ギリギリにスタジアムになだれ込む“サッカー先進国スタイル”ですよね。
 
 そうそう、試合開始前にはスタンドが空いているのに、始まって気が付くと一杯になっているみたいなね。
 
――基本タイでは自らが応援するチームには優しいファンが多いように思うのですが、試合中のスタジアムでやじられることはありますか?
 
 ウチのスタジアムに限って言えば、スタンドとピッチが近いので、ラチャブリー時代に遠征へ来た時にその迫力が半端なくって、やり難かったことはありました。あの雰囲気はタイでもそう多くはないので、その空気感に慣れていなくてビビってしまうタイ人選手も結構いますよ(笑)。逆にホームとなった今はファンと一緒に戦っている感じが強いです。
 
――ポートFCとも“単年契約”なのでしょうか?
 
 いや、2年契約です。あと1年残っているので、要らない!と言われない限りは来年もバンコクでプレーするつもりです。
 
――タイへ来て良かったですか?
 
 もちろんですよ。人として成長出来ていると日々感じてられていますから。
 
 
■プロフィール
永里源気(ながさと・げんき)
1985年生まれ、神奈川県厚木市出身。2004年に湘南ベルマーレユースからトップチームに昇格、翌05年にプロ選手としてデビューしブレイクする。09年の東京ヴェルディを皮切りに、アビスパ福岡、ヴァンフォーレ甲府、FC東京、ガイナーレ鳥取を渡り歩き、14年にタイのラチャブリー・ミッポンFCへ移籍。16年シーズンはポートFCでプレーし、チームを1年でのPLT復帰昇格に貢献。左右を問わずサイドを主戦場とするアタッキングプレーヤーとして、また労を惜しまずに駆け回る姿にはファンからの信頼も厚い。30歳にして一男二女のパパでもある。 
 

取材は、バンコク市内の日本式居酒屋で行なわれた。現地での生活から家族・兄妹のことまで多岐にわたって語ってくれた。

画像を見る

<取材協力>
【藤花 (TOUKA)】
バンコク・サラデーンにある串焼き居酒屋。フロア中央の開放的なオープンキッチンを囲んで広がる店舗空間は何とも心地が良い。串焼きを中心に「博多水炊鍋」や「豚しゃぶしゃぶ」といった鍋メニューも充実。バンコクに数多くある日本式居酒屋の中でも存在感が際立ったお店のひとつ。ランチも絶賛営業中。
https://www.facebook.com/TOUKArestaurant/

画像を見る

【関連記事】
青山直晃はなぜタイへ渡ったのか? そこで体感した練習スタイル、待遇面のギャップとは
青山直晃が語るタイサッカーの意外な実力。驚愕のタイ代表チームメイトに「あんな選手見たことない!」
タイの選手・関係者が見た“強豪国”日本の姿とは?「真剣勝負ができたことに感謝」「差は誰もが認める」「真のプロ集団」
第2戦の相手タイ代表の至宝を直撃。国民が熱狂するスーパースターの素顔と本音とは?
混沌のJ1残留争い!磐田、甲府、新潟、名古屋の"残留条件"を完全解説

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ