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「成功か失敗かは自分にしか分からない」。槙野智章が財産を手にした激動の2011年――欧州挑戦の真実

カテゴリ:日本代表

飯尾篤史

2016年07月22日

代表にはコンスタントに呼ばれたが、「俺でいいのかという想いも芽生えてきて」。

ドイツで出場機会を掴めずとも日本代表にはコンスタントに招集された。ただ、試合勘の乏しさは問題に。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 10月7日のベトナム戦の68分、ゲーム体力不足で足が攣り、ピッチを去ることになる。
 
「ヨーロッパでプレーしている選手が足を攣らせて交代って……。もう情けないし、不甲斐ないし、悔しくて。代表に呼んでもらえて嬉しいけれど、俺でいいのかという想いも芽生えてきて」
 
 戻ったドイツでは、依然として厳しい状況に変わりがない。意を決した槙野は監督のもとを訪ね、切り出した。
 
 なぜ、起用してくれないんですか――。
 
 戻ってきた答は、期待していたものではなかった。
 
「言い訳じみたことをダラダラと言われただけ。すっきりとした気持ちで監督室を出たわけではなかったです」
 
 だが、収穫がまるでなかったわけではない。槙野がそのことに気づくのは、翌日の練習でのことだ。
 
「挨拶したら、監督が僕の目を見て挨拶を返したんです。僕にしてみれば大きな進歩。すごく嬉しかった。そんなことで嬉しくなる自分もどうかと思うけど」
 
 監督との関係が好転し始めた槙野に大きなチャンスが訪れる。
 
 12月16日のバイエルン戦、14分にケルンのDFが負傷すると、代わってピッチに入るように命じられたのは、槙野だった。
 
 マリオ・ゴメスやトーマス・ミュラーと激しくボールを奪い合う。槙野の出来がどうだったのかは、試合後のソルバッケンの言葉が教えてくれる。
 
「今日は槙野だけが戦っていた。彼のプレーは本当に良かった」
 
 苦しい6か月を乗り越え、ついに認められたのだった。
 
 その後、槙野がソルバッケンの下でプレーすることはなかった。ケルンを退団したからである。
 
「バイエルン戦のあと、ウインターブレイクに入ったんです。シーズンが続いていれば、この試合をきっかけに出番が増えたかもしれないけど、これでまたリセットされる。しかも補強の噂もあって、このチームに俺は必要なのかなって」
 
 この時、槙野にはドイツ2部のクラブからオファーが届いていた。毎日のように悩み、ケルン残留ではなく、2部への移籍に気持ちを傾けて日本に一時帰国した槙野に懐かしい人から連絡が入る。
 
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