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【浦和担当記者の視点】なぜ、大一番で負け続けてきたのか? 「楽しむ」という言葉に抱いてきた違和感

カテゴリ:Jリーグ

塚越 始(サッカーダイジェスト)

2016年01月04日

決戦前の「試合を楽しみたい」というコメント。意識や姿勢に、チーム内にズレがあるのでは。

再び準優勝に終わり、肩を落とす選手と指揮官。2015シーズンはCSで準決勝に続いて敗れ、またも無冠に終わった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 11年のナビスコカップ決勝の鹿島戦(0-1)、13年の同じくナビスコカップ決勝の柏戦(0-1)、14年の32節のG大阪戦(0-2)、34節の名古屋戦(1-2)、そして今回の天皇杯決勝のG大阪戦(1-2)。浦和はこの5年間、あとひとつ勝てばタイトルを獲れていたという大一番で、ことごとく敗れている。15年はチャンピオンシップ準決勝でも、G大阪に負けた(1-3)。
 
 浦和を取材してきて、ひとつ抱いてきた違和感がある。
 
 浦和の選手たちから、「試合を楽しみたい」という抱負がよく聞かれる。もちろん、勝つことを前提に言っているのは分かるし、楽しむ気持ちを持つことも大切だと思う。ペトロヴィッチ監督が指摘していたが、天皇杯の準々決勝の神戸(3-0)や準決勝の柏(1-0)のように、ゴール前に人垣を作って守備を固めてカウンターを狙うサッカーにはあまり魅力を感じない(好感を持てるカウンターサッカーもあるが)。
 
 ペトロヴィッチ監督のボールポゼッションを高めて、全員攻撃・全員守備をピッチに具現化する作業には「楽しむ」というのは大切な要素であり、そんな“ミシャスタイル”だからこそプレーしてみようと、5年間、各クラブの主力級の選手が浦和のユニホームを着る決意をしてきた。
 
 一方、その「楽しみたい」というコメントは、敗れてきた重要な決戦を前によく聞かれた。その時、なんとも言えない違和感を抱いたのだ。チャンピオンシップ準決勝、今回の天皇杯決勝を前にしても、やはり主力選手がまず口にしたのが、「楽しみたい」という言葉だった。大一番を前にした選手とスタッフによる円陣でも、「楽しもう!」と声をかけることがあったと聞く。
 
 言葉尻をとらえただけだと言われれば、その通りだと思う。心のどこかにそういった余裕を持つことが、創造性溢れる攻撃につながるという考えも分かる。しかし、タイトルの懸かった一戦、浦和に関わる人が求めているのは、選手たちの楽しむ姿ではなく、勝つ姿である。数々のタイトルを掴んできた鹿島の選手たちから、そのような言葉は聞かれない。昨年のナビスコカップ決勝前、小笠原はあくまで「見ている人に楽しんでもらいたい」と言っていた。
 
 大一番での前提が「勝つ」のか「楽しむ」のか、そのあたりの意識や姿勢にも、チーム内にズレがあるのかもしれない。むしろ試合中、無理に「楽しもう」としているように見受けられるシーンもあった。勝負への厳しさ、勝負ごとへのこだわりを欠いているように感じてしまうのだ。
 
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