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大成の条件――欧州で名を上げた中田、中村、本田…。才能では劣らない柿谷がいまだ輝けない理由とはなにか?

カテゴリ:日本代表

加部 究

2015年10月31日

最初の波に乗り遅れたら失地回復には何倍ものアピールが必要になる。

奥寺や長谷部(写真)のようにドイツで大成するためには、勤勉な順応性が最も重要なポイントになるだろう。(C) Getty Images

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 また日本人の勤勉な順応性で評価を得て、信頼を定着させてきたのが、奥寺康彦や長谷部誠だ。スピードとパワフルな左足を武器にFWとして海を渡った奥寺は、ドイツ(在籍先はケルンやブレーメンなど)でGK以外すべてのポジションをこなすほどオールラウンドに活用された。
 
 ゾーンの意識がまだ希薄だったドイツで、率先して様々なポジションでプレーし、模範的な練習態度が尊敬を集めたわけだが、現在の長谷部もそんな奥寺と似た足跡を辿っている。ヨーロッパの舞台で実績を出すには、フリーキッカーを奪い返す本田のような尖った生き方もあるが、奥寺や長谷部のように黙々と要求に応える方法もある。洋の東西を問わず成功への道のりは十人十色で、だからこそ人との巡り合せ、要するに運が重要なカギになるのだ。
 
 ただし運も手をこまねいているだけで近づいてくるものではない。逆に努力次第では巡り合う確率を高められる可能性もある。
 
 だからJFA(日本サッカー協会)も、様々な意識改革を喚起している。「考える力」「コミュニケーション能力」「ハードワークの意識づけ」「戦う姿勢」……、時代とともに成功への必須項目は次々に判明し、積み上がっている。
 
 結局どんなチームでも、指揮官の第一印象を覆すのは難しい。特に欧州へ進出する場合、移籍後すぐにスタメン起用されるか、あるいは先駆者だった奥寺のように、監督が明確に大事に育てていこうという構想を温めていない限り、なかなかシーズン途中からチャンスは巡ってこない。
 
 監督が変われば、選手個々への評価も変わるわけだが、最初の波に乗り遅れたら失地回復には何倍ものアピールが必要になる。今季の第1ステージ途中からチャンスを掴んでブレイクした浦和の武藤雄樹などは、レアケースと言えるかもしれない。
 
 それだけに選手側にも、自分に適した環境を調べ選択していく自発性が必要になる。これはライター仲間から聞いた話だ。高校時代に自分の特性に適さない大学からしかオファーがなく、「だったら、もうサッカーを辞めよう」と決断した選手がいた。しかし土壇場でJクラブからオファーがあり、今、彼は日の丸をつけて溌剌とプレーをしている。
 
文:加部 究(スポーツライター)
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