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なでしこJが東京五輪で成功できなかった理由。年代別W杯優勝の実績を持つ指揮官はチームをどう導こうとしたのか?

カテゴリ:女子サッカー

西森彰

2021年08月06日

勝負にこだわり切れなかった、育成者の顔

準々決勝で敗戦を喫したなでしこジャパン。今後の復活を待ち望みたい。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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 日本は、対戦相手のストロングポイントを踏まえて対応策を立てたが、対戦国もまた、日本の特長をしっかりと分析していた。崩しのアイデアを選手に委ねた結果、選択されたのは、相手チームも当然のように警戒をはらう、岩渕真奈と長谷川唯のルート。
 
 昨年からスタッフ入りした今泉守正コーチらが、ゴールに近いエリアでの期待値の高いプレーを選手に示唆し、今春の試合で効果を挙げていた。結果から振り返ると、指揮官主導で選手のアイデアとは別の攻撃ルートを開拓しても良かった。選手の絞り込みを早めに済ませていれば、可能だったはずだ。

 接戦になればなるほど、選手交代が勝敗を分ける。カードの枚数が5枚になっても、高倉監督の選手投入は遅れがちだった。とりわけ、イーブンの状況では、選手に限界が来るまでそのまま見守り、動かなかった。イギリス戦やスウェーデン戦では、新手がピッチに入ってきた時には、チーム全体が動けなくなっていた。

 また、バランス回復を試みるケースが多く、対戦相手にとって怖さを感じさせる交代が少なかった。ディフェンダーを1枚削ってフォワードを投入するような、自軍がリスクを負っても、相手のミスを誘うような「その場限りの正解」を選ぶこともなかった。

 女子アジアカップ、アジア大会(いずれも優勝)のような、力が五分以下の相手を順当策で封じることはできても、格上相手のアップセットや逆転勝ちに結びつけることはできなかった。厳しい言い方をすれば、勝敗を扱う勝負師ではなく選手の才能を見出し、伸ばす、育成者としての資質が大きかったということではないだろうか。

――◆――◆――

 ホームで金メダルを獲得するという夢は潰えたが、このチームに招集され、代表活動に参加して視座が高くなった選手はたくさんいる。そうした選手が、その刺激、意識の高まりを一過性のものとせず、次のチームで世界へ再挑戦してほしい。それが、なでしこジャパン復活への第一歩だ。

取材・文●西森 彰(フリーライター)
 
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