ボーダーラインの見極めに時間を擁しながら、最後は主力頼みに
2016年、佐々木則夫前監督の後を受けて、高倉監督はフル代表の監督に就任すると、年代別代表の時と同じように、スポットライトの当たっていなかった選手も、積極的に招集し、試した。女子W杯フランス大会までの3年間で、フル代表あるいは、なでしこチャレンジの合宿に呼ばれた選手は90名。そこにはなでしこリーグ2部や、チャレンジリーグ所属の選手も含まれている。個々の可能性を慎重に探り、一人ひとりの特長と向き合うことで選手の育成は幅広く進んだが、その反面で主軸を固める作業は大幅に遅れた。
女子W杯では、直前にケガ人が続出したこともあり、合宿で思ったような連係強化ができず、完成度の遅れが致命傷になる。大会を戦いながら修正し、ようやくチームが固まった4戦目のオランダ戦で敗れ、大会を後にした。
その後、親善試合からE-1まで連勝街道を突っ走り、この段階では「女子W杯で目指した方向性は間違っていなかった」という意識が、指揮官の中にもあったはずだ。
しかし、コロナ禍で、半年ぶりに代表活動が再開した昨年の秋。高倉監督は、女子W杯出場選手の中にコンディションを崩した選手がいることに気づき、才能を開花し始めた若手に注目。戦力の再チェックを実行した。
新たな競争は激しさを増し、そこを勝ち抜いた若手の意識は決して低いものではなかった。また、チームとしてのベクトルも、女子W杯の開幕時に比べれば、高いレベルで共有されていた。その成果は、グループリーグ最終戦で発揮されるはずだった。
フレッシュな選手を何人使い、前2戦を戦った選手を何人休ませて勝ち切るか。これがこの試合のテーマだった。ノックアウトラウンドで当たる相手は強敵揃い。このチリ戦で出せない選手は、その後も起用できない。
だが、高倉監督は、南こそ休ませたが、コンディションが良くないと伝えられる岩渕真奈、2戦先発していた熊谷紗希、長谷川唯、清水梨紗も、スターティングメンバーに名を連ねた。チリとレベル的には変わらないメキシコに大勝した自信は、カナダ戦、イギリス戦を経て、消失していたのだろうか。
結局、なでしこジャパンはベスト8に進んだものの、9人がターンオーバー明けの優勝候補・スウェーデンと対戦。1対3で敗れて、開催国の東京五輪は終わった。
その後、親善試合からE-1まで連勝街道を突っ走り、この段階では「女子W杯で目指した方向性は間違っていなかった」という意識が、指揮官の中にもあったはずだ。
しかし、コロナ禍で、半年ぶりに代表活動が再開した昨年の秋。高倉監督は、女子W杯出場選手の中にコンディションを崩した選手がいることに気づき、才能を開花し始めた若手に注目。戦力の再チェックを実行した。
新たな競争は激しさを増し、そこを勝ち抜いた若手の意識は決して低いものではなかった。また、チームとしてのベクトルも、女子W杯の開幕時に比べれば、高いレベルで共有されていた。その成果は、グループリーグ最終戦で発揮されるはずだった。
フレッシュな選手を何人使い、前2戦を戦った選手を何人休ませて勝ち切るか。これがこの試合のテーマだった。ノックアウトラウンドで当たる相手は強敵揃い。このチリ戦で出せない選手は、その後も起用できない。
だが、高倉監督は、南こそ休ませたが、コンディションが良くないと伝えられる岩渕真奈、2戦先発していた熊谷紗希、長谷川唯、清水梨紗も、スターティングメンバーに名を連ねた。チリとレベル的には変わらないメキシコに大勝した自信は、カナダ戦、イギリス戦を経て、消失していたのだろうか。
結局、なでしこジャパンはベスト8に進んだものの、9人がターンオーバー明けの優勝候補・スウェーデンと対戦。1対3で敗れて、開催国の東京五輪は終わった。