「僕は一度こうと決めたら周りは関係ないんです。信じて突き進むだけなんです」
サイドバックとして自分を表現すると、トップ下の時以上に力が発揮できていることに気づいた。ゲームを作れて、豊富な運動量でアップダウンもできるサイドバックとして一気に後期のリーグ戦から頭角を現わすと、3年になって左サイドバックだった同じ埼玉出身の伊藤敦樹(浦和)がCBにコンバートされたことで、不動の左サイドバックとしてガッチリとレギュラーの座を掴み取った。
アップダウンとスピード、クロスの精度だけでなく、ビルドアップからゲームメイク、そしてラストプレーの関与まで、近代サイドバックとして必要な能力を兼ね備えた佐々木の評価は一気に急上昇し、3年の後期には前述したように多くのJ1クラブが獲得に動くまでの存在となった。
その中で佐々木は川崎に逆ラブコールを送っていた。
「熱心に誘ってくださったクラブも本当に素晴らしいクラブでした。でも、僕の中でやっぱりフロンターレは特別だったんです。今のサッカーのクオリティは誰が見ても日本一ですし、僕もあの中に入って上手くなりたいし、よりイマジネーションを膨らませながらプレーできる気がするんです。その時はフロンターレからのオファーがなかったのですが、来るまで信じて待とうと思っていました」
川崎から声をかけてもらっていない段階で、「何がなんでも川崎に入りたい」と思うことは簡単なことではない。なぜ彼はそこまで川崎にこだわったのか。その理由は彼のこれまでのサッカー人生が物語っていた。
アップダウンとスピード、クロスの精度だけでなく、ビルドアップからゲームメイク、そしてラストプレーの関与まで、近代サイドバックとして必要な能力を兼ね備えた佐々木の評価は一気に急上昇し、3年の後期には前述したように多くのJ1クラブが獲得に動くまでの存在となった。
その中で佐々木は川崎に逆ラブコールを送っていた。
「熱心に誘ってくださったクラブも本当に素晴らしいクラブでした。でも、僕の中でやっぱりフロンターレは特別だったんです。今のサッカーのクオリティは誰が見ても日本一ですし、僕もあの中に入って上手くなりたいし、よりイマジネーションを膨らませながらプレーできる気がするんです。その時はフロンターレからのオファーがなかったのですが、来るまで信じて待とうと思っていました」
川崎から声をかけてもらっていない段階で、「何がなんでも川崎に入りたい」と思うことは簡単なことではない。なぜ彼はそこまで川崎にこだわったのか。その理由は彼のこれまでのサッカー人生が物語っていた。
「僕は一度こうと決めたら周りは関係ないんです。信じて突き進むだけなんです」
静岡学園を希望した時もそうだった。実際に行けなかったし、途中で薄々「自分じゃ厳しいんじゃないか」ということにも気づいていた。それでも前期だけでなく、後期試験まで受けて最後まであがいた。厳しい現実を突きつけられた後は、すぐに埼玉平成で成長するという意思に切り替えて、チームとしての結果は出せなかったが、自分を信じて磨き続けた。
だからこそ、流通経済大進学というビッグチャンスを掴み、そこでも怯むことなく自己研鑽を怠らなかったからこそ、J1の複数チームが争奪戦を繰り広げるまでの存在になった。ならば川崎も望み続ければ叶うかもしれない。というより、信じ続けようと固く決意した。
そしてついに念願が叶って川崎からのオファーが届き、彼はその翌日に受けることを即答した。
「声をかけてくれた時は、もう嬉しくて、嬉しくて。ちょっと不安も出たのは正直なところですが、一晩明けたらもう『絶対にチャレンジする』という気持ちになっていた。フロンターレは中村憲剛さん、登里享平さん、小林悠さん、谷口彰悟さんとみんな長く在籍をして欠かせない存在になっている。僕もそういう存在になりたいと思っています」
彼のサッカー人生は一貫している。周りの意見に左右されたり、変に将来の皮算用をして目標を下げたり、怯んだりすることなく、とにかくその環境に飛び込んで、全力でもがきながら道を切り開いていく。彼が紡ぎ出す勇者の物語に、周りは大きな夢を馳せていく。佐々木旭という男はそういう存在だ。
取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)
静岡学園を希望した時もそうだった。実際に行けなかったし、途中で薄々「自分じゃ厳しいんじゃないか」ということにも気づいていた。それでも前期だけでなく、後期試験まで受けて最後まであがいた。厳しい現実を突きつけられた後は、すぐに埼玉平成で成長するという意思に切り替えて、チームとしての結果は出せなかったが、自分を信じて磨き続けた。
だからこそ、流通経済大進学というビッグチャンスを掴み、そこでも怯むことなく自己研鑽を怠らなかったからこそ、J1の複数チームが争奪戦を繰り広げるまでの存在になった。ならば川崎も望み続ければ叶うかもしれない。というより、信じ続けようと固く決意した。
そしてついに念願が叶って川崎からのオファーが届き、彼はその翌日に受けることを即答した。
「声をかけてくれた時は、もう嬉しくて、嬉しくて。ちょっと不安も出たのは正直なところですが、一晩明けたらもう『絶対にチャレンジする』という気持ちになっていた。フロンターレは中村憲剛さん、登里享平さん、小林悠さん、谷口彰悟さんとみんな長く在籍をして欠かせない存在になっている。僕もそういう存在になりたいと思っています」
彼のサッカー人生は一貫している。周りの意見に左右されたり、変に将来の皮算用をして目標を下げたり、怯んだりすることなく、とにかくその環境に飛び込んで、全力でもがきながら道を切り開いていく。彼が紡ぎ出す勇者の物語に、周りは大きな夢を馳せていく。佐々木旭という男はそういう存在だ。
取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)