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「崖っぷちだと思っている」Y.S.C.C.横浜の36歳・シュタルフ悠紀監督が明かした危機感と理想のサッカー【インタビュー/後編】

カテゴリ:Jリーグ

木之下潤

2021年05月17日

「スピード感をもって成長し、最高と…」

――ある意味、『這い上がってきた選手を積極的に起用する』ことと、いま話をされた内容は深くリンクすることかもしれません。

「育成は時間がかかるものです。在籍する36名を、時間をかけてトレーニングすれば、どの選手も必ず伸びます。ただ誤解を恐れずに言うと、時間をかけるに値するかは、サッカーに対する情熱や姿勢、行動…その選手がプロとしての自覚や価値をどうチーム、クラブのために注いでいるかで見極めなければいけません。限りある時間の中でクラブとして結果を追い求めているわけですから、ここに関わる人たち全員に厳しさが求められるのは当たり前のことです。

 例えば、どれだけのスピード感をもって上に這い上がれる選手になるのか、どれだけスピード感をもって改善できる選手になるのか。ここが3シーズン目を迎えた監督としてこれまでとは違う目線を持つようにしている点です。がんばれない選手、良いものは持っているけど、試合結果に対してネガティブに働く課題を抱えている選手については、これまでならいい部分を輝かせていいステージにあげようとしていましたが、今シーズンは結果に響くリスクが大きすぎるのであれば『今は起用できない』と判断する考えにシフトさせています。

 その代わり、その考えをストレートに伝えることを心がけています。包み隠さずに。これまでは育成重視でよりヒントを与えて考える指導をしていましたが、感情的な主観を持たずに選手としての責任を自分自身でとってもらうような働きかけ方をとるようにしています。当然、相手があることなので、そこと照らし合わせたときに勝利に近い選択ができるようなメンタルの強さを持てるように挑戦しています」
 
――スピード感は、プロとして結果を出すための総合的なキーファクターです。

「今シーズンはこれまでのシーズンより試合数が少ない。おそらく早い段階で上位組と下位組にわかれると思いますから、その段階で上位組に残れないとメンタル的にも苦しい試合を戦うことになります。私たちはメンタル的に未熟なチームなので、だからこそ早い段階で勝つこと、勝点を重ねることが重要だと考えています。

 勝って自信を得ることができたら、その上にいろいろな要素を加えて目標を達成することも可能だと思うんです。下位が続いているクラブは下位でいるクラブのメンタリティが染みついていて、上位組には上位にいるメンタリティがあります。一番大きな差は、クラブの規模でも、技量でも、戦術理解力でも、フィットネスでもなく、上位組のメンタリティを持っているのか、下位組のメンタリティを持っているのかが結局は大きな差になっていると思っています。

 YSCCは未だにここを振り払えていない。それは上位組のメンタリティを持つ選手が成長すると引き抜かれてしまう構図になっているからです。上位組のメンタリティを持つ選手は活躍して上位クラブ、上位リーグに行くんです。技術的にはうまくて良い選手であっても、下位組のメンタリティを持つ選手はステップアップできずに下位組に居続けてしまう。これが3年間の考察で得た感想です。

 YSCCに最も必要なのはそのメンタリティの積み上げです。それもあり、今年はメンタルトレーニングを取り入れています。ただここは私も専門外ですし、できることも限られる中での挑戦なので、選手が個々でどう取り組むのかはチームの結果にも左右すると感じています」

――シーズン終了後に選手がどう変わっているのか楽しみです。最後にファンに向けてメッセージをお願いします。

「吉野(次郎)代表が発信していた目標は一桁順位、過去最高の勝点の獲得です。私自身、選手とベストシーズンにすることを共有しています。順位、勝利数、勝点、ゴール数、最少失点数…数字に起こすことは簡単ですが、誰が見ても『今シーズンはYSCC史上一番よかったよね』と思えることが、私の今シーズン目指しているところです。

 素人だろうと、専門家だろうと、家族だろうと、スタッフだろうと、選手だろうと、全員一致で『今年のYSCCは良かった』と今後も語り継がれるシーズンにしたいです。また、『それができる力が自分にあるのか』に対して挑戦したいです。私はリーダーですから自分が殻を破れないようじゃ、選手もスタッフも殻を破れるはずがありません。

 率先して戦う姿勢を持ってこの目標を達成したい! ぜひそこをスタジアムで見てほしいですし、そこを応援してほしいし、みんなが変化していく姿を見届けてもらえたらと思っています」

取材・文●木之下潤
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